八海神社はっかいじんじゃ

当時の国司であった中臣鎌足が八海山に不思議な雲がかかっている様を見て、従者数十人を引き連れて登山し、御祭神を奉祭したと伝えられる。
 水分神・農耕神を崇める思想から始まり、山麓にて自然石を祀り、御神木を神の依り処として御山そのものを遥拝する形から信仰が始まった。1794(寛政6)年、木曽御嶽山を開いた普寛行者が来越し、屏風道が開かれ、七合目に八海山大神を祀る(現在、御神像のみ)。御嶽山の兄弟山として列格し、しだいに全国に知れ渡るようになり、各地から講集団が訪れるようになった。
 八海山の登山口*それぞれに里宮があり、八海神社は、八海山ロープウエーにほど近い城内口の里宮である。1840(天保11)年、旧社殿を経て、現在の社殿は2002(平成14)年のもの。一の鳥居から400mの杉並木が続き、境内には、夫婦杉や安産石があり、夫婦和合や子宝安産の神様としても信仰されている。
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みどころ

一の鳥居から二の鳥居までの参道約440mの両側に立ち並ぶ樹齢250年余りのうっそうとした八海山杉並木は、総本数256本で、幹回りの最大のものは6.2mにも及び、樹勢はすこぶる盛んである。1836(天保7)年、地域一帯が大旱魃に襲われたとき、地元24集落の住民が領主に被害の対策についてお願いした結果、水源涵養林造と八海山の景勝保全のため植林されたという歴史がある。
 参道杉並木として、これだけの本数と樹齢をもつのは非常にまれであり、1970(昭和45)年、新潟県の指定文化財に指定された。(溝尾 良隆)
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補足情報

*八海山の登山口:大きく3カ所あり、それぞれ1合目に里宮がある。ここで取り上げた八海神社は南魚沼市山口にある城内口の神社である。他に、最も古い登山口である大倉口には坂本神社、大崎口には八海山尊神社がある。各神社ともに火渡り神事*を行っており、八海神社では6月最終日曜日に行われる霊峰八海山お山開き祭にあわせて斎行される。
*火渡り神事:かつての行者達が行ってきた荒行を再現奉納する神事で、焚き上げた火の上を裸足で渡り、家内安全・無病息災を願う。遠方からも多くの信者が訪れるが、一般の参加も可能。