大地の芸術祭だいちのげいじゅつさい

「大地の芸術祭」は、越後妻有地域の里山で開催される国際芸術祭である。2000(平成12)年に開始し、2018(平成30)年で第7回目を迎えた。基本理念は「人間は自然に内包される」。
 越後妻有とは、十日町市と津南町にまたがる760km2、人口約5万人の地域である。十日町、川西、津南、中里、松代、松之山の各エリアに分かれ、それぞれに現代アートの諸作品が配置される。3年に一度で夏の期間に本祭は開催されるが、残った作品を活かして、年間を通して多くの人に来てもらう取組みをしており、季節プログラムを展開している。
 当初、地元では現代アートが浸透しておらず、里山を使用したり、地域内を歩く人たちが増えるので、反対意見が多かった。参加集落はわずか28集落だった。しかし、来訪者は現代アートと里山景観との組み合わせに感動し、以降、年々来訪者も受入れ集落も増えていった。来訪者数は2000(平成12)年16万2,800人が、2009(平成21)年には37万5,311人、2018(平成30)年には54万8,380人と増え続けている。参加集落も、同年28から92、102 と増えてきた。作品数も146から、365、379となった。
 運営にあたって、アーティストと地元集落と協働する他地域の人々によるボランティアグループ、「こへび隊」が当初から関わった。空き家オーナーになる空き家プロジェクトも2006(平成18)年に設けられた。2008(平成20)年にはNPO法人越後妻有里山協働機構が設立され、運営に強力な組織ができあがった。
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みどころ

来訪者がこのプロジェクトに好感をもったのは、地元の人たちが長年築き上げてきた農耕地や集落、その里山風景に、外部から来たアーティストが感動し作品を制作する、そうした里山と芸術作品に感動したからである。結果、地元住民が自分たちが築き上げてきた里山に誇りをもつようになった。こうした好循環が生まれ、「大地の芸術祭」は存続されているのである。(溝尾 良隆)
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補足情報

*『大地の芸術祭』(現代企画室ほか)によると、地域にはつぎのような効果が生まれている。
・作品づくりやイベントへの参加を通して住民同士の結束がいっそう強化された。
・アーティストと「こへび隊」との絆が生まれた。
・廃校・空き家にアートが導入され、地域が活性化する
・地域食材を活かし、アートの観点を採り入れた飲食店が開業している。
・地元の土産品に新たなデザインが取り入れられている。
・棚田を維持するために棚田バンク制度を導入し、「まつだい棚田バンク」を設立した。
・越後妻有の開口部に「越後妻有里山現代美術館MonET」が開館している。
・エリアの拠点施設として、まつだい「農舞台」、越後松之山「森の学校」キョロロができあがった。
関連リンク ECHIGO-TSUMARI ART FIELD(NPO法人越後妻有里山協働機構)(WEBサイト)
参考文献 ECHIGO-TSUMARI ART FIELD(NPO法人越後妻有里山協働機構)(WEBサイト)
十日町市(WEBサイト)
津南町(WEBサイト)
北川フラム、大地の芸術祭実行委委員会監修『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018 公式ガイドブック』現代企画室、2018年6月

2022年06月現在

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