綾子舞は柏崎市の中心から南へ16km離れた黒姫山の麓、旧鵜川村(現柏崎市)女谷の下野と高原田(たかんだ)で伝承されている古雅な民俗芸能である。
 綾子舞は女性による小歌踊(こうたおどり)と男性による囃子舞(はやしまい)・狂言の3種類から成り立っている。
 綾子舞の由来にはいくつかの説があり、小歌踊は今から約500年前、越後の守護であった上杉房能(うえすぎふさよし)が滅ぼされた折、妻の綾子が女谷に落ちのび伝えたものであるという説と、北国武太夫(ほっこくぶだゆう)という武士が京都の北野天満宮の巫女の文子(あやこ)の舞を伝えられたという説がある。
 囃子舞と狂言は、江戸中期に京都の狂言師夫妻によって伝えられたものであるといわれている。
 戦後まもなく中央の学会に紹介されて、学者や芸能関係者の調査研究や視察が相次ぎ、1976(昭和51)年には、初期歌舞伎の面影を残す芸能として芸能史上極めて価値の高いものと認められ、国の重要無形民俗文化財の第1回目に指定された。
 現在は、柏崎市綾子舞保存振興会から指導者を派遣し、伝承地を含む新道小学校と南中学校の希望生徒に「伝承学習」として教え、また伝承者養成講座として伝承学習経験者や市民も加わり現地公開などいろいろな公演に出演し保存伝承を行っている。
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みどころ

女性が躍る小歌踊と男性が演じる囃子舞、狂言の3種類をまとめて、『綾子舞』という。
 小歌踊は、踊りの衣装や振り、歌詞、また囃子に三味線が入らないことから女歌舞伎踊りにきわめて似ている。
 狂言は現存する流儀の曲目になく、若衆歌舞伎の演目にあるものを伝えている。
 高原田(たかんだ)と下野では同じ演目もあるが、踊り方や歌詞、セリフに少し違いがあり、その違いをみつけるのも楽しみのひとつである。(溝尾 良隆)
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補足情報

*綾子舞に関する資料・古文書をはじめ、衣装、道具などが保存・展示された「綾子舞会館」があり、後継者育成のための練習や歴史を伝える施設である。毎年9月の第2日曜日、綾子舞の伝承地である女谷の綾子舞会館前、特別舞台で現地公開されている。その他にも文化会館での公演や依頼公演もあり、伝承学習参加の子どもたちによって伝承学習発表会も行われている。
関連リンク 柏崎市(WEBサイト)
参考文献 柏崎市(WEBサイト)
うわっと!柏崎(一般社団法人柏崎観光協会)(WEBサイト)
八幡和郎、 西村正裕著『「日本の祭り」はここを見る』祥伝社、2006年10月
和歌森太郎監修『日本の祭り 秋』立風書房

2022年06月現在

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