貞観園ていかんえん

当地方の大庄屋村山家の五代当主が貞観堂を建てた頃より庭園*を本格的に造り始める。代々手を加え、九代・十代の江戸末期から明治の始めに基礎が出来上がった。八代・九代当主は京都まで出掛けて学び、幕府の庭師の指導も受け、庭園を造った。越後の豪雪地帯に都の文化を取り込んだ苔の庭園である。1937(昭和12)年に名勝としての指定を受けた。
 庭園の造りは京都風で、池泉回遊式庭園である。国道252号沿いに屋敷森があり、その木立の中の石段を登りつめると正門に出る。周りの自然を取り込んだ借景と、池と築山がつくる林泉の風景や数多くの庭石に、江戸時代を偲ぶことができる。園内には百種類を超える苔が密生しており、苔の風景が幾重にも重なって庭の奥行きをつくっている。主屋は貞観堂と呼ばれる建物で、前には池が配され滝がかかる。そして月華亭(げっかてい)、抱月楼(ほうげつろう)、環翠軒(かんすいけん)、四時庵(しじあん)などの茶室や東屋の観瀑亭(かんばくてい)が点在し、しっとりとした風情がある。面積約2,300坪*。
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みどころ

開園期間は6月1日~11月30日、月曜日が休園日。ふだんは貞観堂から鑑賞する。ガイド付きで、ふだん歩くことができない庭園を歩いて鑑賞する特別公開が1年に8日(2022(令和4)年の計画)、1日3回、開催されており、その時には事前予約が必要。なお、参加費はふだんも有料であるが、特別公開時は特別料金となる。(溝尾 良隆)
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補足情報

*貞観園の由来:中国の詩「遺情捨塵物」「貞観丘壑美」から「貞観」を引き出し命名。貞観とは、おごりの心、怠けの気分を捨て去り、真正面から見るという意味。
*各勝指定面積は約11万m2であるが、有料公開はその一部である。