佐原の町並みさわらのまちなみ

古い家並みを残す佐原は、江戸時代から利根川水運の中継地として発展し、商人の町として栄えた。町中を流れる小野川沿いや香取街道沿いには、江戸時代から昭和期に至るまでの町屋や土蔵、レンガ造りなど情緒漂う建物が多く残っており、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されている。それらの建物の多くは、現在も活用されている。
 例えば、「伊能忠敬旧宅」は、江戸時代に日本全国を測量した伊能忠敬が隠居するまで住んでいた建物である。1762(宝暦12)年、忠敬は17歳で伊能家の婿養子となり、49歳で隠居するまでこの地で酒造業を営んでいた。現在は国指定史跡となっており、見学が可能である。また、川崎銀行佐原支店旧本館として建てられたレンガ造りの「三菱館」と隣接の「町並み交流館」は、現在では古い町並みの保存と再生のための活動の拠点として活用されている。そして、町の中心にあった中村屋商店は宿泊施設となっている。一方で、昔からの家業を引き継いで今も営業を続けている商家も多い。
 このほか、重伝建地区内にある「伊能忠敬記念館」では、忠敬の人生を年代順に展示しており、業績の結晶である「伊能図」などを紹介している。さらに、重伝建地区の東側にある八坂神社の境内には「山車会館」があり、佐原の大祭で使用される実物の山車を展示・保存しているほか、祭りに関する資料展示を行っている。
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みどころ

歩ける範囲の中に、江戸時代から昭和期に至るまでの建物が当時の姿で多く残されており、町中を歩くだけでも見て楽しめる。特に、小野川を中心として両サイドにそのような建物が集積しているのは、全国的に見ても希少である。さらに、それらの建物は単に残されているだけでなく、何らかの形(当時のままの用途もしくは他に転用)で活用されているというのも特筆すべき点である(「生きている町並み」となっている)。現在の用途は、見学・学習施設、飲食施設、ショッピング施設など幅広く、様々な目的の客層が楽しめるようになっている。
 訪れた際には、歩くだけでなく、ぜひとも小野川をわたる舟の中からも眺めたい。水郷の町・佐原の雰囲気を味わうことができ、地上とは異なる目線で楽しむことができる。そして山車会館では、伝統ある佐原の祭りの雰囲気を感じることができる。(牧野 博明)
関連リンク 佐原町並み交流館(WEBサイト)
参考文献 佐原町並み交流館(WEBサイト)
パンフレット「小江戸めぐり佐原」
パンフレット「伊能忠敬記念館」

2020年04月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。