香取神宮かとりじんぐう

香取神宮は、佐原の町並みの東側、老杉生い茂る「香取神宮の森」と呼ばれる地に鎮座する。御祭神・経津主大神(ふつぬしのおおかみ)は、天孫降臨の折、鹿島神宮の御祭神・武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)と共に出雲へ赴き、大国主神(おおくにぬしのみこと)との国譲りの交渉を成功させた。それ故に、国家鎮護の神として奉祀されている。
 社伝によると、創建は神武天皇の御代18年とされており、戦国時代までは20年ごとに式年遷宮を行っていた。その後は式年遷宮の替わりとして、12年ごとに神幸祭を行うようになった。これが現在の式年神幸祭につながっている。
 境内には、本殿*・拝殿をはじめ、楼門*、総門、神楽殿、宝物館*、奥宮*などが立ち並ぶ。また、地震を起こす大鯰を抑えるために地中深くまで差し込んでいるとされる霊石「要石」もある。
 春日大社(奈良県奈良市)や鹽竈(しおがま)神社(宮城県塩竈市)など、香取大神を御祭神とする神社は全国各地に及んでおり、広く尊崇を集めている。
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みどころ

朱の大鳥居を入り、老杉が生い茂る「香取神宮の森」のなかを通る表参道を進んでいくと、俗世間から遠ざかるような感覚を抱く。総門を経て、さらに先へ行くと、重厚感のある楼門がそびえており、その存在感の大きさに圧倒される。楼門をくぐり、正面にある拝殿・本殿に向かうと、厳かな雰囲気を感じる一方で、装飾部分の極彩色に目を奪われてしまう。このような特色ある装飾は、手水舎や楼門にもみられ、見逃せない。
 また、宝物館には貴重な文化財のほか、天皇家にまつわる絵画なども展示されており、香取神宮と天皇家との関係の深さをうかがい知ることができる。
 さらに、神話の時代より鹿島神宮との縁が深いため、鹿島神宮とセットで訪れたい。(牧野 博明)
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補足情報

*本殿:黒漆を基調とした両流造の建物で、屋根は桧皮葺となっている。1700(元禄13)年に徳川幕府によって造営された。手前の拝殿は1940(昭和15)年に改築したもので、蟇股などの装飾部には極彩色を施している。
*楼門:1700(元禄13)年に徳川幕府の手によって造営された、朱と緑の色鮮やかな建物。楼上の額は、東郷平八郎の筆によるものである。
*宝物館:神宮に伝わる美術工芸品や古文書を収めている。主なものとしては、国宝である海獣葡萄鏡(かいじゅうぶどうきょう)、国指定重要文化財である古瀬戸の狛犬などがある。
*奥宮:楼門の西側約100mに鎮座する社で、経津主大神の荒魂を祀る。現在の社殿は、1973(昭和48)年の伊勢神宮御遷宮の折の古材を用いて建てられている。
関連リンク 香取神宮(WEBサイト)
参考文献 香取神宮(WEBサイト)
パンフレット「香取神宮境内案内図」

2020年04月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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