玉敷神社たましきじんじゃ

埼玉県北東部の加須市にあり、延喜式神名帳に名を連ねる古社である。現在より数百m先の正能(しょうのう)地区にあったが、兵火にあって焼失。その後私市(きさいち)城の大手門前に再建されたが、程無く(1627(寛永4)年頃)現在地に移転鎮座した。本殿・幣殿は1816(文化13)年の建築、拝殿は1898(明治31)年の修築、神楽殿は1836(天保7)年の建立だが、2018(平成30)年に、社殿は120年ぶり、神楽殿は16年ぶりに屋根の葺き替えが行われた。
 神楽殿で舞う「玉敷神社神楽」は、正能地区の氏子が代々受け継いできたもの(現在は他地域の者も参加している)で、江戸神楽の原型を伝える素朴・典雅な舞と、笛・鞨鼓(かっこ)・太鼓の楽から構成され、歌やせりふは無い。演目は番外を含め17座。国の重要無形文化財に指定されている。
 境内にはイチョウの大木があり、その内の2本は高さ30m、幹回り5mにもなる市の天然記念物で、樹齢500年を超えている。
 参道向かいには、鎌倉時代より歴代の宮司を務める社家の河野家跡があり、現在は公園になっている。河野省三(こうのせいぞう)は國學院の学長も務めた著名な国学者である。
 東側の神苑、玉敷公園は大フジで有名。樹齢400年以上の巨木は直径1mを超える幹1本から約700m2に及ぶ枝を伸ばし、1m余の花房を見せてくれる(県の天然記念物)。気候により見頃は変わるが、騎西藤まつりのシンボルツリーである。
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みどころ

2018(平成30)年の”平成の大改修”により、社殿の銅板屋根・飾り金物・彫刻が美しくよみがえった。また併せて修復した茅葺き屋根の神楽殿では、神社の祭礼(2月1日初春祭、5月5日春季大祭、7月15日夏季祭、12月1日例大祭)後に、400年以上の歴史を持つ「玉敷神社神楽」が奉奏される。
 境内の大イチョウ、旧河野邸跡の公園の蝋梅・梅・シダレ桜、玉敷公園の桜やフジ、玉敷の森、あちこちに植樹された紫陽花、ホタルの里など、春から秋にかけて、季節ごとに様々な自然を楽しめる神社である。
 特に11月下旬~12月上旬は、イチョウの葉が落ち、境内一面が黄色い絨毯を敷き詰めたようになり、夜のライトアップも美しい。
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補足情報

*703年(大宝3年)創建と言われているが、136年(政務天皇6年)の説もある。元荒川流域に数多く分布する「久伊豆神社」の総本社とされている。主祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)(またの御名:大国主命)。
*参拝者に人気の場所
・神社を参拝後、時計回りに社殿を一周するのがオススメ。
・茅葺き屋根の神楽殿、2本の大イチョウ、1.5haの社叢を眺め、多くの境内社をお参りできる。
・奥側の大イチョウは御神木で、根本から3本の木が分かれ、「絆のイチョウ」とも言われている。
・周回の最後は社殿右手。社殿や大イチョウの全景を見渡せるパワースポット。
*ゆっくり神社の景色を眺めていただけるよう、季節や時間帯によってベンチを動かしている。冬には社務所前の火鉢で暖を取れる。
*長い参道脇には古い松だけでなく、新しく木々の植樹計画が進んでいる。大晦日にはキャンドルで灯された参道を通ってお参りできる。
*毎月1日は、社殿右側で「ご神水」を汲める。
*ご神宝である獅子頭を借りて、五穀豊穣・家内安全を祈る祓えの行事「お獅子様(おしっさま)」は、埼玉県北東部を中心に170ヶ所以上に及び、200年以上の歴史がある。
*駐車場
・玉敷公園駐車場を利用(無料)
・収容台数32台(身障者用スペース4台含む)
関連リンク 玉敷神社(WEBサイト)
参考文献 玉敷神社(WEBサイト)

2020年04月現在

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