中禅寺湖畔大使館等別荘群ちゅうぜんじこはんたいしかんとうべっそうぐん

蒸し暑い東京の夏を避けて、在住外国人は、日光、箱根、軽井沢などに別荘を構えた。
 中禅寺湖畔は、1877(明治10)年以降、外国人の避暑地として注目されたことから、欧米人の趣向にあわせたヨット・マス釣りなどの遊びがいち早く導入された。大正から昭和初期に湖畔には、貿易商や外国人大使館の別荘が40軒以上設けられた。大使館関係では、1896(明治29)年に英国大使館別荘、1922(大正11)年、フランス大使館別荘、1928(昭和3)年、ベルギーとイタリアの大使館別荘が建設された。
 中禅寺湖畔の南岸にあるイタリア大使館の本邸(国登録)は、アメリカ人建築家アントニン・レーモンドの設計により、1928(昭和3)年に建てられ、1997(平成9)年まで歴代のイタリア大使らが使用した別荘である。その後、栃木県が譲り受け、記念公園として建築当時の姿に復元した。日本の杉皮や竹を使ったモダンな内外装の西洋建築で、毎年、4~11月に公開されている。
 2016(平成28)年には同じように、県が譲り受けて英国人別荘記念公園が開園している。
 湖畔にはこのほかに貿易商グラーバーの別荘跡を整備した西六番園地、1947(昭和22)年連合軍の調達要求により、アメリカの水辺リゾートの建物をモデルに日米親善交流施設として建設された中禅寺湖畔ボートハウス記念館がある。
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みどころ

明治中期から昭和初期の頃、外交官をはじめ多くの外国人が避暑に訪れた中禅寺湖畔には、まさに国際的な避暑地であった。最盛期には、大使館や外交官の別荘が中禅寺湖畔に40棟以上あった。現在もベルギーやフランスの大使館別荘は利用されている。
 日光では、こうした歴史的な建物にも訪れ、外国人の豊かな時間の過ごし方が日本人に影響を与えたという、豊かな時間を過ごしながら、日光の奥深い歴史を感じていただきたい。(溝尾 良隆)
関連リンク 日光自然博物館(WEBサイト)
参考文献 日光自然博物館(WEBサイト)
とちぎの百様(栃木県)(WEBサイト)
『国際避暑地 中禅寺湖畔の記録』栃木県環境森林部自然環境課、2016年

2022年06月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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