日光二荒山神社にっこうふたらさんじんじゃ

恒例山の西麓にあり、東照宮造営以前は二荒山(日光山)信仰によって山内の中心を成していた。主神大己貴命(おおなむちのみこと)は秀峰二荒山(男体山)の神、妃神の田心姫命(たごりひめのみこと)は女峰山の神、御子神の味耜高彦根命(あじすきたかひこねのみこと)は太郎山の神である。別宮の滝尾神社・本宮神社とともに、もとは日光三社権現の一つであったが、1871(明治4)年、神仏分離令によって二荒山信仰の本社として、二荒山神社と称するようになった。
 境内地はおよそ34km2、日光連山の主峰男体山をはじめ、赤薙・女峰・大真名子・小真名子・太郎・白根山の諸山を含み、この山々はすべて山霊の鎮まる御神体とされ、山頂には奥宮が祭れている。境内地の広さでは伊勢神宮に次ぎ、農業・福徳の神として広く信仰を集めている。
 なお、男体山頂出土品や刀剣などの社宝類は中宮祠の博物館に展示している。
#

みどころ

二荒山神社は、江戸時代初期に東照宮が建立されるずっと以前、奈良時代から日光三山(男体山、女峰山、太郎山)の神を祀る山岳信仰の聖地として崇められてきた。
 日光山内の入り口にかかる木造で朱塗りの「神橋」美しい。境内は厳かな雰囲気に包まれ、霊峰・男体山からの気を感じられる。
 中禅寺湖の北岸にある二荒山神社中宮祠にもぜひお参りしたい。また男体山の山頂にある二荒山神社奥宮は登山となるが、機会があれば訪れたい。
 なお、同じく世界遺産に登録された「日光東照宮」、「日光山輪王寺(大猷院霊廟を含む)」も数分の距離になるので、あわせて見学したい。(溝尾 良隆)
#

補足情報

*年中行事:弥生祭(4月16・17日)。
*本殿・拝殿:1619(元和5)年、徳川秀忠の寄進によって造営され、山内では最古の建造物である。本殿は五間四方、入母屋造、銅板葺の大屋根の正面に千鳥破風・唐破風を付け、八棟造とも呼ばれる豪壮な建築。枡組・蟇股・長押などは繧繝(うんげん)彩色を施した華麗な装飾がある。内部は内陣と外陣に分かれ、内陣に3祭神を祭る。本殿の前面にある拝殿は正面5間、側面4間、入母屋造、銅板葺、総朱塗で本殿のような彩色はない。
*燈篭(化燈篭):本殿を囲む透塀の外側にある鎌倉時代の春日形唐銅製の燈篭。高さ約2.3m、1292(正応5)年3月1日、奉納の銘があり、六角の屋根のへりに数ケ所の刀痕がある。夜になると怪しく変化したと伝えられ、山内警固の武士が切りつけた跡という。
*高野槙:化燈篭の左側にある。弘法大師のお手植えと伝わる古木で、推定樹齢は1100年以上。このほか境内には御神木・親子杉・夫婦杉など樹齢600~800年の老杉が茂る。参道石段下にある老杉にナラの生えた宿り木も珍しい。
関連リンク 日光二荒山神社(WEBサイト)
参考文献 日光二荒山神社(WEBサイト)

2022年06月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。