沼沢湖ぬまざわこ

JR只見線早戸駅から只見川を渡り、つづら折りを登って約5kmのところにある。湖面標高474m、周囲7.5km、最大水深96mの透明度の高いカルデラ(火口)湖である。沼沢火山は11万年前から活動が始まったといわれているが、このカルデラ湖が生成されたのは約5600万年前の噴火活動によるものとされている。
 周囲の外輪山は林野庁の自然観察教育林に指定され、ブナ、ミズナラの森に覆われており、ツツドリ、コガラ、サンショウクイ、オオルリ、キビタキ等多くの野鳥を見ることができ、魚類ではヒメマスが棲息することでも知られている。
 湖畔周辺の二重カルデラ内には、古くから集落*があり、湖にまつわる大蛇退治伝説*ものこる。この伝説にあやかり、毎年8月第1土・日曜日に「沼沢湖水まつり」*が行われている。
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みどころ

カルデラ湖の特徴である外輪山が湖を囲み、神秘的な雰囲気を醸し出す。豊かなブナ、ミズナラが新緑、紅葉時に湖面に映え、美しい。湖畔一周の遊歩道はアップダウン(標高480~835m)があり、フィックスロープ、鎖場もあるので足回りには注意が必要だが、森林浴、バードウォッチングに最適なハイキングコース。
 ヒメマス漁は毎年4月1日から9月30日まで解禁され、多くの釣り人が訪れる。そのほか、オートキャンプ場、キャンプ場、サイクリングロード等が整備され、自然を満喫できる。
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補足情報

*集落:江戸後期の『新編会津風土記』では「大蛇人ノ爲ニ誅セラレ其後此邊ニ人家ヲ營ミシト云 小山四方ニ圍テ鏡水其中ニ開ヶ積翠澄波ノ間ニ浮動シ山中ニハ少ナル勝境ナリ 東ノ涯ヲ鑿テ渠ヲ通シ數村ノ田畝ニ灌グ」としており、江戸期には人家があり、湖が潅漑にも利用されていたことがわかる。
*大蛇退治伝説:大正期の『大沼郡誌』によると、昔、沼沢湖には雌の大蛇が住み、木々が覆い、昼なお暗く常に雲霧に鎖され「霧ヶ窪」と称して住む人も少なかったという。建久の頃(1190~1199年)、領主佐原十郎義連がこの害を除こうと従兵5、60人を従えて舟で湖に乗り出したところ波が逆立ち、雷鳴とともに大蛇が現れたが、義連はこれを捉え腹を切り裂いたという伝説があることを記している。義連は鎌倉幕府の御家人で、のちに会津の守護大名となる芦名氏の始祖といわれている。
*「沼沢湖水まつり」:和舟レース・アーティストのライブ・大蛇退治の再現等が行われ、花火を背に大蛇が出現する湖上花火大会や灯篭(とうろう)流しなども開催される。

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