喜多方ラーメンきたかたらーめん

喜多方には良質な水*があり、優良な米作りの地域であることから、古くから酒・味噌・醤油などの醸造業が栄えてきた。喜多方ラーメンは、その良質な水によって麺が作られ、茹でられ、伝統の醤油・味噌などによってラーメンスープの味のベースが作られている。麺の特徴はコシが強い「熟成多加水麺」*の平打ち麺を多くの店が使用している。スープは基本的には醤油味だが、塩味や味噌味などもあり、それぞれの店が工夫をこらしている。
 喜多方ラーメンの歴史は大正末期から昭和初期に、中国から来日した青年が屋台を引いて売り歩いた手作り支那そばが元祖といわれている。この時の支那そばが口当たりがよく、汁にうまく絡むように平たく太い縮れ麺だったとされる。戦後、この麺やスープ作りのレシピを同業者に積極的に公開したため、喜多方市内に広まったという。さらに1970(昭和45)年代後半には「蔵のまち喜多方」の認知度が高まり多くの観光客が訪れ、「喜多方ラーメン」が手軽な食事として人気を集め全国に知れ渡った。これによりご当地ラーメンの先駆けとなったといわれている。
 その後、行政や商工会議所、主要店が主導し1987(昭和62)年に喜多方ラーメンを継承・発展させていくため「蔵のまち喜多方老麺(らーめん)会(現協同組合蔵のまち喜多方老麺会)」が創設され、現在はラーメン店35軒が加盟している。*
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みどころ

喜多方ラーメンは店によっていろいろな工夫が凝らされているが、豚骨や魚介、地元野菜をふんだんに使ったスープは、身体にすんなりとなじむ感じ。そのスープと太めの縮れ麺の相性は良い。喜多方市内では、蔵造りの店、町の食堂のような店、中華料理店など多種多様な店で喜多方ラーメンを提供している。老舗や評判店では一日中行列の絶えないところもある。
 喜多方には朝、開店間もない時間からラーメンを食べる「朝ラー」と呼ばれる食文化がある。農作業や早朝の運動を終えた市民や夜勤明けの人たちに提供したのが始まりといわれ、喜多方ラーメンのブームとともに全国に知られるようになり、現在は20店ほどが実施している。
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補足情報

*良質な水:喜多方の上水道は飯豊山地東方ブナ原生林からの流れ出る栂峰渓流水を主な水源としており、熱塩浄水場で浄水し供給している。
*熟成多加水麺:ラーメンの麺の製造工程で加える水の率が高いものをいう。この率が一定以上に高いと、やわらかでもちもちした食感となり、麺が延びにくく縮れるという特徴がでてくる。ただ、製麺において熟達した技術が必要とされる。「熟成」は工程上で、素材の均一化や安定化を図るために寝かせる時間を調整することを指す。多加水麺は喜多方ラーメンのほか佐野ラーメンなどでも使われることが多い。
*喜多方ラーメンは令和3年度には文化庁の「100年フード」に認定されたほか、令和5年度には(一社)日本記念日協会へ7月17日を「喜多方ラーメンの日」として申請し、記念日登録されるなど地元に愛され、多くの観光客を魅了している。
関連リンク 喜多方老麺会(WEBサイト)
参考文献 喜多方老麺会(WEBサイト)
『喜多方老麺会』パンフレット
喜多方観光物産協会(WEBサイト)
喜多方市(WEBサイト)
『世界の料理がわかる辞典』講談社

2023年08月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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