三春滝ザクラみはるたきざくら

JR磐越東線三春駅から南へ約6km、町の中心から南へ4km、滝集落はずれの丘陵の傾斜面に立っている。高さ13.5m、根元回り11.3m、目通り周囲は9.5m、枝の広がりは東西に約25m、南北に約20mに及ぶシダレザクラ*の巨木で、樹齢は1000年以上と推定されている。
 開花期は例年4月上旬~中旬で、この期間には夜ザクラのライトアップもある。滝ザクラの周囲は根元の保護のため柵で設けられているが、階段、歩道が整備されており、滝ザクラの周りを一周することができる。ご神木として、根元には小さな祠が鎮座している。
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みどころ

見事な一本桜。満開時は、まさにピンクがほとばしるような滝を思わせ壮観。しっかりとした樹勢は1000年を超える樹齢とは思えない力強さも感じる。このサクラが古くから愛でられてきたことは、明治期に編纂された『田村郡郷土史』によると、江戸期には三春藩が「麥隴(麦畑)中に聳へ高サ四丈二尺(約13m)周圍三丈二尺餘(約10m)糸枝地上ニ埀下レ花色濃紅ニシテ風景特ニ美ナリ」として、貢租を免除し滝ザクラの保全保護にあたったということからも推測できる。当時から「花時遠近ノ雅客來タリ觀ルモノ多シ」だったとも記している。
 また、1835(天保6)年には三春藩士が上洛した折、京の歌人たちとの会談で、この滝ザクラを話題にしたところ、歌人賀茂季鷹は「陸奥にみちたるのみか四方八方にひゝき渡れる瀧さくらかも」と詠み、同じく歌人の桑門如及も「音高き瀧の里なる瀧櫻ちさとの外に名さへひゝきつ」などと詠み、撰歌集にいれたことで世に広まり、光格天皇にも聞こえたとも記している。
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補足情報

*シダレザクラ:エドヒガン系ベニシダレザクラ。ソメイヨシノより赤みがあり、枝が垂れ下がった形をしている。三春滝ザクラのある三春町にはシダレザクラが多くみられ、樹齢を100年を超えるシダレザクラが70本ほどある。 町の中心部にも、お城坂枝垂れ桜、福聚寺桜、桜谷枝垂れ桜などがある。