雄国沼湿原おぐにぬましつげん

磐梯山の西にそびえる猫魔ガ岳(標高1,404m)・厩岳山(同1,261m)・古城ガ峰(同1,288m)・雄国山(同1,271m)など、猫魔火山の外輪山に囲まれて雄国沼*があり、沼の西岸から南岸にかけては、周囲の山からの流水、湧水によって、排水の悪い緩傾斜に谷湿原が発達している。これが雄国沼湿原である。とくに南岸は水辺から500~600mの幅で広がっている。
 雄国沼と湿原の成因は、かつては100万年前から40万年前に活動した猫魔火山の陥没カルデラと考えられていたが、現在では、最初の火山(厩岳山・古城ガ峰・雄国山など)に大規模な山体崩壊が起こり生じた爆裂カルデラ内に、さらに新たな山体(猫魔ガ岳)が形成され、その際に生れた窪地に雄国沼と湿原が誕生したと考えられている。
 湿原とその周辺の標高は1,100m余りで、湿原の周辺にはブナ林やミズナラ林が広がる。湿原の周縁部には低層、中間湿原が、中心部には高層湿原*が見られ、それに植生も応じて、ワタスゲ、レンゲツツジ、ニッコウキスゲ、タテヤマリンドウ、ショウジョウバカマ、コバイケイソウ、サワラン、トキソウなど280種ほどの湿原植物が群生し、約180万m2が国指定の天然記念物となっている。
 もっとも手軽に探勝を楽しむには、喜多方側の雄国林道を車で金沢峠まで入れば徒歩10分ほどで湿原に至ることができる。ただし、レンゲツツジやニッコウキスゲの開花期である6月初旬~7月中旬頃はマイカー規制があり、麓の県営萩平駐車場からシャトルバスとなる。このほかの探勝路としては喜多方から登る国道459号線側の桜峠から入る雄国パノラマ探勝路(片道約6km)と、桧原湖側の国道459号線沿いのバス停雄国沼登山道入口(雄子沢登山口)から入り雄国せせらぎ探勝路を経て湿原の木道入口(片道5.1km)に向かう2コースがあり、その先に湿原を木道で1周する雄国沼湿原探勝路(0.8km)がある。
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みどころ

6月中旬のワタスゲや6月下旬から7月初旬のニッコウキスゲの大群落が素晴らしく、山肌のレンゲツツジが朱色が鮮やか。秋には付近の山を彩る紅葉や湿原の草紅葉もみごとである。
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補足情報

*雄国沼:水面標高1,089m、周囲3.5km、最大深度4.6m。江戸後期の『新編会津風土記』にも「猫魔嶽ノ西北ニアリ山間廣平ニテ雑木ナク多く蒹葭ヲ生ス中ニ沼アリ廣十五町(1600m)四方計其水深ク冬夏涸ルコトナシ 猫魔桂澤井戸窪丸山等ノ諸峯コレヲメクリ幽陰ノ地ナリ」と記載があり、この沼の水を利用して雄国新田村を開いたとも記されている。
*高層湿原:高山などで貧栄養の地下水、降水に満たされる湿原は、枯れた植物の分解が遅く、泥炭層が生成されやすい。この層が厚い湿原を高層湿原という。また、傾斜地で地下水の供給が多く泥炭層が薄い湿原を低層湿原という。泥炭層が伴なわない場合は、沼沢となる。 地形、気候、地質など条件により異なるものの一般的には沼沢から低層、中間、高層と湿原は遷移するとされるが、環境変化により乾燥化し湿原が各段階で消失することも多い。

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