後生掛の泥火山と大湯沼ごしょうがけのどろかざんとおおゆぬま

後生掛温泉の宿泊施設の脇の駐車場から沢筋に沿って自然観察研究路が整備されている。研究路は湯が沸き立つ2つの噴出孔オナメ・モトメ*1からスタートして、紺屋地獄、マッドポット泥熱泉)が点在する沢、大泥火山、大湯沼など様々な火山活動の様子を約2km、徒歩40分で観察することができる。
 紺屋地獄の泥湯の泥は硫黄や硫化鉄が沈殿したものと岩石の変質物が混合したもので、これが藍色を呈し、その沈殿物の泥が蒸気で時折ボコボコと押し上げている。自然観察研究路を南に向かい沢を少し下ると、大泥火山。もともとは湯沼だったが、沈殿物が圧縮された天然蒸気に間欠的に吹き飛され、堆積して火山のような1~2mほどの小山できたものでこうした泥火山は湯沼式泥火山という。大正期から成長し現在の規模になったとされ、噴出物の温度は94.5℃ある。紺屋地獄から向かって右手奥の高台にある大湯沼は面積約1万m2。東側では水面下に泥火山やマッドポット(泥熱泉)が見られ、西側は活動が活発で水温も83℃と高い。
 自然観察研究路の周辺には硫化ガスに耐えられるイソツツジ、ガンコウラン、シラタマノキ、イオウハナゴケ、キタゴヨウなどの植物も観察できる。
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みどころ

自然研究路を歩いていると、足元には地熱が感じられ、一帯は湯煙と硫化水素の香りが漂い、ボコボコと音を鳴らしながら、泥を持ち上げているマッドスポット(泥熱泉)がある。沢の奥まったところにある大きな沼の中に噴気を立ち上げ高さ1~2mの泥火山の連なりとなる「大泥火山」は迫力がある。硫気に強い植物たち、荒々しい地獄、泥火山と四季折々の色合いをみせる周囲の山々との対比も魅力的。大湯沼は背後の焼山・国見台の山景と、泥湯が沸騰して噴煙が立ち昇る湖面の様とのコントラストが素晴らしい。さまざまな火山現象を間近で見ることができ見応えがある。それでもかつての噴泥活動に比べると沈静化されているという。なお、現在、噴気活動などのため、大湯沼を1周することができないなど研究路の一部は通行止めになっているが、自然観察には支障はない。
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補足情報

*1 オナメ・モトメ:伝説によると「追剥に遭遇し負傷した雫石の喜平がこの地の湯治を行っていると、霊場巡りで来湯した娘と出会い、娘が熱心に看病したおかげで喜平は回復し、二人は結ばれた。しかし、雫石から喜平の妻が夫を探しに来て、喜平に新しい相手がいることを知り、地獄谷で投身自殺をしてしまう。これを見た娘も犯した罪に苦しみ後を追って飛び込んでしまう。すると、二つの新しい噴泉が噴き出し、この大噴泉を『オナメ(妾)、モトメ(本妻)』」と呼ぶようになったという。喜平は自分の罪深さを悔い、大きな石に二人の戒名を刻み、その後、一生を掛けて弔い続けていたことから、この地を「後生掛」と呼ばれることになったという。
関連リンク 鹿角市(WEBサイト)
参考文献 鹿角市(WEBサイト)
温泉天国 秋田八幡平(八幡平温泉リゾート協会)(WEBサイト)
後生掛自然研究路コースマップ
『現地案内板』

2023年06月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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