十二湖じゅうにこ

JR五能線十二湖駅の東3~4km、白神山地西部の標高150~250mの起伏の多い台地に約4km2にわたって散在する湖沼群。十二湖と呼ばれてはいるが、実際には大小33の湖沼がある。十二湖の東方にある崩山の大崩展望台から見ると十二の湖がその姿を見せるので十二湖の名前がついたという。
 湖沼の成因については地すべり地震によって谷がせき止められてできた閉塞湖であるという説が有力という。八景の池・王池(西湖・東湖)・日暮の池・越口の池・中の池・落口(おちくち)の池・沸壺(わきつぼ)の池・鶏頭場(けとば)の池・青池などが主な見どころとして数えられる。
 周辺には十二湖の名をつけた施設が多い。白神山地の自然博物館「白神十二湖エコ・ミュージアム」、コテージなどの宿泊施設「アオーネ白神十二湖」、十二湖全体の模型の展示とこの地域の紹介をする施設「十二湖ビジターセンター」、落口の池の目の前にある茶屋「十二湖庵」、ログハウスのコテージやキャンプ場の「十二湖リフレッシュ村」、JR五能線「十二湖駅」に併設している直売所「十二湖駅産直コーナー ぷらっと」などである。散策やトレッキングコースも数多くあるので旅行計画をたてるときには注意が必要である。
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みどころ

大町桂月*が十二湖について詠んだ句「山の中三十三湖紅葉かな」の句碑が鶏頭場の池湖畔に建立されている。鬱そうと茂った原生林の中に美しい様々な湖が点在している。絶好の展望台が十二湖の東方にある崩山にあり、ここからの俯瞰は原始林につつまれた十二の湖が美しく輝く。
 数多くの散策コースやトレッキングコースが用意されている。代表的な散策コースは森の物産館キョロロに隣接する大きな駐車場から鶏頭場の池、青池、ブナ自然林、沸壺の池、十二湖庵で一休みして、出発点の駐車場まで一周1.8km約1.5時間のコース。鶏頭場(けとば)の池は水深22m面積4.1haと十二湖の中では大きな池、青池は透明度が高く青い色の人気の高い池。ただし時間帯によって色が変わり、深い青色になるのは太陽があたる限られた時間という。ブナ自然林は約200m続き野鳥のさえずりが楽しめる。青池に匹敵する透明度で神秘的な雰囲気のある沸壺の池、十二湖庵ではお茶とお菓子を楽しみ、森の物産館でゴールする。その他十二湖リフレッシュ村から長池、沸壺の池や青池に至るコース、青池から金山の池、糸畑の池に至るコース、王池を一周するコースなど様々あり、ガイド付きのツアーもある。
 十二湖に向かうときには、白神十二湖エコ・ミュージアムや十二湖ビジターセンターでその概要を理解してから訪れたい。十二湖ビジターセンターは越口の池湖畔にあり、十二湖全体の模型や十二湖付近に住む動植物に関する資料を閲覧することができる。またこの施設に隣接して幻の魚「イトウ*」の養殖場があり、イトウを間近でみることもできる。
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補足情報

*大町桂月:1869~1925年。明治大正時代の文人、旅行作家。旅と酒とをこよなく愛し後半生は、「行雲流水」や「日本の山水」などを刊行、紀行文家として名声を獲得した。
*イトウ:サケ科に属する魚。北海道、樺太(からふと)に分布する。サケ科の魚としては長命である半面、成長速度が非常に遅いので希少性が高い。成魚の体長は1メートルを超すものもあり、幻の怪魚とされ釣り人のあこがれの魚である。

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