八甲田山の樹氷はっこうださんのじゅひょう

八甲田山は青森県の中央、青森市と十和田湖の中間に構える火山で、奥羽山脈北端の重鎮である。1,585mの大岳を最高峰とし、高田大岳、赤倉岳などの火山群の総称である。樹氷とはシベリアからの冷たい風が日本海を越えるときに湿気を多く含み、山岳にぶつかり上昇気流に乗るときに急速冷却され、0℃以下の水分のまま雪山の常緑樹に付着し氷となって成長したものである。気温-5℃以下の寒い環境のみに生じるといわれている。付着して固まったものは雪ではなく氷であるが、粒子が細かく気泡を多く含むので雪の様に白い。
 八甲田山に多く植生するアオモリトドマツに、氷とその上に雪がぶつかりながら徐々に大きく成長し、やがて「スノーモンスター」と呼ばれるまで大きな樹氷になる。黄砂の来る前1月~3月上旬、樹氷が白く輝き見頃である。
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みどころ

八甲田山の樹氷は、その規模・壮観さ・豪快さにおいて日本一と言われている。八甲田山麓にある酸ヶ湯の積雪がニュースで流れるように、わが国最大の降雪量の地域であることからもうなずけよう。
 樹氷は八甲田山全体に分布するが、冬の間の気候条件が厳しいので八甲田ロープウェーの車窓から、ロープウェイの山頂駅付近とスキーコースから眺めるのが一般的である。特にロープウェイ山頂駅の田茂萢岳付近が最も美しい。樹氷のモンスターに加え晴れた日には、津軽平野や岩木山を眺めることもでき、また赤倉、井戸、大岳方面を見渡せば白銀の大パノラマを堪能できる。
 春になると黄砂の影響で黄ばんでしまうため、その前がベストシーズンで2月から3月初め頃までであるが晴れの日はほとんどなく悪天候の日が多い。また積雪が固まっていないことが多く冬山の装備とスノーシューかスキーが必要である。冬季間は天候が急変することもあり、雪や霧で見通しがきかないことが多いのでガイド付きのツアーに参加するか、ロープウェイの車窓からで楽しむことにしたい。

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