蕪島のウミネコかぶしまのうみねこ

蕪島は八戸市の東、種差海岸の西側に隣接している。もとは離島であり吊り橋がかかっていたが、1943(昭和18)年に埋め立てられ、今は周囲約800m、高さ約17mの陸繋島*である。ウミネコ*の繁殖地として有名。毎年2月頃に3万羽から4万羽と言われるウミネコが飛来して巣を営み、4~5月に産卵、7月末に成長したヒナとともに北へ飛び去る。島にはアブラナが自生しており、島全体に花が咲き乱れる4~5月にはウミネコがその上を乱舞して、絵のような光景となる。蕪島の語源は蕪(アブラナ)が自生していたことから、神を祀る島の「カム、カバ」から、アイヌ語のウミネコなどをさす「カピュ―」からなどと複数の説がある。
 島の上部にある「蕪嶋神社」は、弁財天を祀り、漁業安全や商売繁盛、芸能などにご利益があるといわれている。創建は1296(永仁4)年。江戸時代には八戸藩主の庇護を受けるなど、古くから信仰を集めてきている。2015(平成27)年11月、火災により蕪嶋神社焼失。2020(令和2)年に再建工事が完了して現在に至る。
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みどころ

蕪島に近づくと「ミャアミャア」という鳴声が響き渡る。この鳴き声が猫に似ているのでウミネコというらしい。ウミネコはカモメと似ているが、目が黒一色のカモメとは異なり、黒い瞳部分が小さく目の周りに赤いアイリングがあるため、目つきが鋭く見え怖い顔つきに見える。しかしこの島のウミネコは人を恐れず、すぐ間近によっても逃げもせず首を左右にキョロキョロするだけで親しみを感じる。ただし如何せん数が多いので、飛んでいるウミネコの糞爆弾を受けることもある。蕪島の入り口にはビニール傘が置いてありこれで防御するという。また子育てシーズンは警戒心が強くなるので威嚇され嘴でつつかれることもある。 
 蕪島近くの漁港から出航し、八戸港を40分かけて周遊する観光遊覧船もある。海から望む蕪島や港湾施設、工場地帯の風景は圧倒的なスケールで見応えがある。また遊覧船を追いかけてくるウミネコの群れと間近で戯れる体験もできる。晴れた日には、遠くに八甲田連峰や岩木山まで見渡せることもあるという。
 蕪島と水産科学館マリエントの間に蕪島プロムナード公園が2018(平成30)年オープンしている。散策を楽しんだり、美しい景色を見ながらくつろぐことができ、指定区域内ではバーベキューを楽しむことができる。
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補足情報

*陸繋島:砂州によって陸地とつながった島。
*ウミネコ:カモメ科の海鳥。尾羽の一部が帯状に黒くなっていることが特徴。夏に繁殖地を離れ、沿岸部の海上を北上する。保護鳥。
関連リンク 八戸市(WEBサイト)
参考文献 八戸市(WEBサイト)
VISIT HATINOHE(一般財団法人VISITはちのへ)(WEBサイト)
蕪島神社(WEBサイト)
『青森県の歴史散歩』青森県高等学校地方史研究会(編) 山川出版社

2023年07月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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