種差海岸たねさしかいがん

八戸市の東部、太平洋に面している。蕪島から東の鮫角(さめかど)を南に回って南北約12kmの連続した白い砂浜と岩礁の海岸である。探勝の中心はJR八戸線陸奥白浜駅と種差海岸駅の間、約2kmの海岸が遊歩道で結ばれているエリア。ここの海岸はおだやかな海面を前にして低い段丘が緑の芝におおわれて連続し、一帯は独特の気候に育まれた海浜植物と高山植物が豊富であり、ハマナス*・スカシユリ・ニッコウキスゲ・ノハナショウブなどが6~8月にかけて咲き競う。陸奥白浜駅から徒歩6分のところにある砂浜(白浜)は絶好の海水浴場として人気が高い。
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みどころ

種差海岸のほぼ中央に位置する天然芝生地は、天然の芝生が波打ち際まで広がっており、実に開放的で、キャンプ場も開設され快適にくつろげる。
 一方、天然芝生地から北側は、一変した荒々しい岩礁地帯の海岸で、北から鮫角灯台や城塞のごとき葦毛崎展望台などがあり、そこからは太平洋や南に続く岩礁、白砂の海岸の変化ある景観が広がっている。中須賀では、高山植物のニッコウキスゲや海浜植物のハマナスなど、多様な花々の競演を楽しむことができる。岩礁に白波があたって砕ける風景や広大な砂浜、さらには芝生と青い波のコントラストの眺めが印象的である。
 この海岸線は蕪島が起終点となっている「みちのく潮風トレイル*」のコースとなっている。東山魁夷*(ひがしやまかいい)の代表作「道」は種差海岸を訪れたときのスケッチをもとにしたといわれており、この地域が道を大事にしていることに繋がっているのかもしれない。
 種差海岸遊覧バス「うみねこ号」は鮫(JR鮫駅)から種差海岸駅を結び、主な見どころの蕪島や種差海岸に停車するので、この地域をめぐるには便利である。車窓からも美しい海岸線が望めるので快適に観光できる。
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補足情報

*ハマナス:バラ科の落葉低木。正式にはハマナシ(浜梨)で、6~8㎝の花をつける。しばしば大群落をつくるが、種差海岸では陸奥白浜駅の北、徒歩約15分の大須賀付近が群生地として知られている。
*みちのく潮風トレイル:青森県八戸市蕪島から福島県相馬市までの4県29市町村をつなぐ、全長1,000キロを超えるロングトレイル。東日本大震災からの復興を契機とし、環境省を中心に、関係自治体、民間団体、地域住民の協働により設定されたもの。
*東山魁夷:1908~1999年。昭和を代表する日本画家で、風景を題材として作品を描き続けた。1950(昭和25)年に発表した「道」は、前方へとまっすぐに伸びる道それだけを描いた単純化を極めた作品である。種差を題材にしたと思われる作品は生涯で17点ほどあり、「凪」などにある馬も東山作品のモチーフとなっている。
関連リンク 八戸市(WEBサイト)
参考文献 八戸市(WEBサイト)
VISIT HACHINOHE (一般財団法人VISITはちのへ)(WEBサイト)
『青森県の歴史散歩』青森県高等学校地方史研究会(編) 山川出版社

2023年07月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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