阿寒湖のマリモあかんこのまりも

緑藻類、淡水産アオミソウ科の一種で、世界の寒冷地の湖に産する。マリモは濃緑色の細い藻が中心から放射状に生えビロード状の球状をなすが、球状にならず糸状体の細い藻のみが、ばらばらに生長した房状のものも多い。球形のマリモの大きさは豆粒大から6~8cmほどが平均的であるが、阿寒湖では30cmを超えるものもみられる。
 日本においては植物学者川上瀧彌が阿寒湖で採集し、1898(明治31)年に、その形が毬(まり)に似ているところから和名をマリモ(毬藻)として植物学雑誌に発表したことにより、その存在が全国的に知られるようになった。国内でもマリモの存在は北海道や本州の十数個所の湖沼で確認されているが、大きな球状のマリモが群生しているのは阿寒湖のみとされる。阿寒湖のマリモの特徴は、形の整った球状の集合体をなし、30㎝を超える大型*1のものがあり、純群落を形成していることである。
 現在、阿寒湖のマリモは国の特別天然記念物に指定されている。絶滅の危険性があるとされ、国の絶滅危惧Ⅰ類にも分類されているが、繁殖の詳細については解明されていない。
 阿寒湖でのマリモの観察にはチュウルイモシリ(島)にある「マリモ展示観察センター」*2に立ち寄ると良い。
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みどころ

マリモの生態については、阿寒湖温泉近くの阿寒湖畔エコミュージアムセンターでもみられるが、遊覧船や高速船でチュウルイモシリ(島)にある「マリモ展示観察センター」に行きたい。観察センターでは阿寒湖ならではの20cmを超えるマリモの生態展示の大水槽がみどころ。まさにビロード状の球状マリモの群生しているところを観察することができる。展望スペースでは、湖面を吹き渡る風を感じながら、周囲の緑深い豊かな原生林や雌阿寒岳の山並みを見渡すのも気持ち良い。
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補足情報

*1大型:大型の球状マリモは5~9年周期で成長と崩壊を繰りしているといわれている。 阿寒湖で大型な球状マリモが生成されるのは、水温や水質、光環境がマリモの生育に適しているうえ、カルデラ湖で浸食、噴火、堰止め、堆積等の複雑な作用によって形成された盆地状の特異な地形により、水深約2mの湖底に生育地が確保され、適度な水の動きでほどよく回転し、まんべんなく太陽光を浴びることができるためとされている。
*2「マリモ展示観察センター」:観察センター内には阿寒湖の湖底を再現した大水槽があり、天然のマリモを観察できる。また、5つの小型水槽では、マリモの胞子形成、球状体の生成と成長、崩壊、再生にいたるマリモの一生を紹介している。そのほか、マリモ群生地の特徴や阿寒湖の環境などを映像展示している。屋外には阿寒湖に生息するイトウやアメマスなどを観察できるコーナーや、展望スペースもある。開館期間は4月下旬から11月末まで(期間中無休)。観察センターのアクセスは阿寒湖温泉から遊覧船や高速船などを利用する。