邑南町は島根県中央部、邑智(おおち)郡の町。東側に広島県三次市、西側に浜田市、北側は江津市・川本町・美郷町、南側は広島県安芸高田市・北広島町に接する。
国道261号が通じ、浜田自動車道瑞穂インターチェンジがある。また東南部に隣接する広島県三次(みよし)市との境界を国道375号が通じる。
町の大半は200m~350mの盆地状に開けた農地がある典型的な中山間地帯。東側の羽須美地域をはじめ低地の割合も多く、その多くは標高 100~600mの地域となっている。また、瑞穂地域、石見地域の南側から西側にかけては中国山地の 1,000m級の急峻な地形が分布している。東部と広島県との境には中国地方最大の河川である江の川が北流しており、山間部の中高地を出羽川、濁川とその支流など、江の川に流入する多くの河川が流れる。
2004年(平成16)瑞穂、石見の2町と羽須美村が合併して成立。かつては木炭や出羽鋼の産地で、古くからたたら製鉄が行われ、旧石見町の矢上には鉄穴流し跡が残る。中世には豊富で良質な砂鉄、銀、銅の領有を巡る攻防が繰返され、近世には浜田藩、津和野藩、一部天領となり、高品質な玉鋼(出羽鋼)は遠く上方、江戸表まで出荷されることもあった。また、鉄穴流しで副次的に開かれた水田はその後食糧供給基地として重要な役割を果たした。羽須美地域では古代から江戸時代まで、中国地方三大家畜市の一つである阿須那牛馬市が行われた。
現在は高冷地野菜栽培や畜産、酪農、また町域東部の出羽川ではアユやコイの養殖が行われている。
高原地形を利用した宿泊施設やスキー場がある。千丈渓、断魚渓は江川水系県立自然公園の一部で国の名勝に指定されている。また、国の特別天然記念物オオサンショウウオを飼育展示している瑞穂ハンザケ自然館がある。他、大型遊具の設置された香木の森公園やトレーニング機器が充実する健康センター・元気館、いわみ温泉などがある。また、7月20日に行われる豊作祈願の民間信仰行事、鹿子原の虫送り踊り(県指定無形民俗文化財)、心やさしいやまんばあさん伝説をもとにした「やまんば祭り」、大元神楽など、町内の各地区で伝統芸能や「花桃まつり」、旧JR宇都井駅を活用した「INAKAイルミ」や「三江線トロッコ」等のイベントも開かれている。

観光資源一覧

千丈渓の写真

写真提供:桜江町商工会

千丈渓 (島根県 江津市 / 島根県 邑南町 )

島根県中央部、江の川の支流八戸(やと)川に合流する日和(ひわ)川上流、約5kmにわたる渓谷。  3,500~4,000万年前の古第三紀と呼ばれる時代に起こった激しい火山活動によって噴出し堆積した流紋岩やデイサイト等の火砕岩で構成されており、岩質は硬く、亀裂が多く発達している。この亀裂に沿って河川の洗堀作用が進み、陸地の隆起に伴う...

断魚渓の写真

写真提供:西村愛

断魚渓 (島根県 邑南町 )

大田市の南約40km、中国山地にある於保知(おほち)盆地*、その北東部の山間に刻む渓谷。江の川支流の濁川(にごりかわ)に浸食されてむき出しになった流紋岩の高低差100mほどの崖が、国道261号に沿って展開する。  石英粗面岩の岩盤が渓谷いっぱいに露出し、流れは滝となり淵となって、嫁ガ淵(よめがふち)・一夜橋(いちやばし)・箕ノ...