岐阜市は、県南西部にある。北は山県市、北から東は関市、南東は各務原市、南は岐南町、笠松町、羽島市、西は大垣市、瑞穂市、北方町、本巣市に接する。県庁所在地。
 JR東海道本線、高山本線、名古屋鉄道の名古屋本線、各務原線が通じる。また、国道は21号を中心に、156号、157号、256号、303号などが市街に集中している。
 濃尾平野の北端に位置。中央部から東北部にかけて稲葉山系の山がそびえる。中央部を流れる長良川により南部と北部とに区分され、南部は境川、荒田川、論田川、大江川などの支流とこれらに注ぐ小河川や排水路が流れ、北部は伊自良川、鳥羽川、板屋川、根尾川など支流とこれらに注ぐ小河川、排水路が流れる。
 1889年(明治22)市制施行。数回の編入の変遷を経て、1996年(平成8)中核市に移行。2006年(平成18)柳津町を編入して現在の市域となる。市内には遺跡や古墳が残り、歴史は古い。応仁・文明年間(1467~1487)には市南東部の川手が美濃の守護土岐氏の拠点として繁栄。京都の公家、文化人などが積極的に迎え入れられ、その文化的影響を受けた。戦国時代には斎藤道三以下斎藤氏が稲葉山城を拠点に美濃を支配し、1567年(永禄10)稲葉山城を落とした織田信長が岐阜と改めて城下町となり、繁栄。江戸時代には幕府天領、のち尾張藩の統治のもとに、長良川の水運によって商業の町として栄えた。伝統の鵜飼観光と全国屈指の既製服生産地として有名。
 市北西部などの近郊農業地域ではダイコン、枝豆、ホウレンソウなどの栽培が盛んで、おもに関西市場向けに出荷されている。則武では守口ダイコンを特産する。ほか富有ガキの産出も大きく、畜産では育雛が発達している。また、既製服、岐阜提灯、和傘、団扇などの特産品があり、岐阜駅前には全国的な販路をもつ既製服問屋街がある。また、柳ヶ瀬は岐阜市の中心商店街として知られる。
 各地に旧石器、縄文、弥生、古墳の各時代の遺物出土地や遺跡があり、琴塚、竜門寺の古墳が有名。また古代寺院として飛鳥時代の厚見廃寺、大宝廃寺、鍵屋廃寺がある。このほか、金華山には岐阜城(稲葉山城)があり、山麓には岐阜公園、名和昆虫博物館、板垣退助遭難碑などがある。また乾漆仏のある正法寺(大仏殿)、伊奈波神社、土岐家の菩提寺の瑞竜寺、斎藤家の菩提寺の常在寺、織田信長父子の廟のある崇福寺、美江寺、護国之寺、芭蕉句碑、岐阜市科学館、県歴史資料館、市歴史博物館、県美術館などがある。1300年の歴史を誇る長良川の鵜飼は、毎年5月11日~10月15日まで行われる(中秋の名月と増水時は除く)。名産に鮎うるか、鮎菓子、鮎薫製、守口漬、岐阜提灯、岐阜和傘などがある。1988年(昭和63)ぎふ中部未来博が開催され、跡地に岐阜メモリアルセンターができた。また、長良川国際会議場などを備えた交流施設「世界イベント村」も建設されている。

観光資源一覧

岐阜城の写真

写真提供:岐阜市

岐阜城 (岐阜県 岐阜市 )

清流長良川をのぞむ金華山頂(標高329m)にあり、急峻な崖にまもられた山城。鎌倉時代に二階堂行政(にかいどうゆきまさ)*が砦を築いたのが始まりとされる。  古くは稲葉山城とよばれ、1539(天文8)年頃斎藤道三*によって近世的城郭に改修された。1567(永禄10)年*織田信長が攻略して岐阜城と改め完成させ、天下布武の足掛りとした...

ぎふ長良川の鵜飼の写真

写真提供:(一社)岐阜県観光連盟

ぎふ長良川の鵜飼 (岐阜県 岐阜市 )

長良川が夕闇に閉ざされるころ、かがり火を赤々と水面に映して、鵜舟が川を下ってくる。鵜舟は長さ約16mの大型のもので、鵜匠一人、中乗りと艫(とも)乗りの船頭二人が乗り込む。鵜匠は舳先で手縄を付けた10~12羽の鵜を巧みに操り、鵜を引き上げて呑んだ魚を吐かせる。中乗りは捕獲した魚や器具を扱い、艫乗りは船尾で棹をとる。舳先ではか...