川根本町は、県北西部にある。北は長野県飯田市、東は静岡市、西は浜松市、南は島田市に接する。
 国道362号、473号が通じるほか、町内を大井川鉄道が通る。大井川、寸又峡の渓谷美を縫って走る大井川鉄道は、SL運転の大井川本線と日本で唯一のアプト式鉄道の井川線(南アルプスあぷとライン)など地方鉄道の特色を打ち出している。
 大井川とその支流寸又川に沿う山間に位置し、河川に沿って美しい渓谷が築かれている。河川はこの他、栗代川などが流れる。地形は変化と起伏に富み、町域の約94%が森林。本町の最北部にそびえる光岳の南西側の一帯は、全国で5箇所、本州では唯一の原生自然環境保全地域に指定されており、南アルプス国立公園の一部をなす。また、「鵜山の七曲がり」を始めとして山岳地帯の河川に見られる「嵌入蛇行」の典型例が見られる。
 2005年(平成17)中川根町、本川根町が合併して成立。大井川は古代から、東岸の駿河国と西岸の遠江国を分けていた。江戸時代の大井川は架橋、渡船、通船が許されずに川越制度が維持され、通船許可がおりたのは1870年(明治3)だった。
 江戸時代からの伝統をもつ林業を主産業とし、スギ、ヒノキの産地として有名。また、同じく伝統ある茶が農業生産額の多くを占め、良質な川根茶の産地として知られる。
 大井川源流部は本州で唯一の原生自然環境保全地域で大井川上流は奥大井県立自然公園に指定されている。大井川中流東岸、田代のヌタブラ遺跡では県内最古級の約3万年以前と推定される旧石器時代の石器群が発見されている。近世初期の古歌舞伎のおもかげを伝える「徳山の盆踊」は国指定重要無形民俗文化財。SLが毎日走る大井川鐵道の千頭駅周辺にSL資料館、音にまつわる博物館「音戯の郷」がある。「美女づくりの湯」と呼ばれる寸又峡温泉、「若返りの湯」と呼ばれる接岨峡温泉などの温泉やキャンプ場などの観光施設も多い。このほか、徳山のしだれ桜、南赤石林道周辺のアカヤシオ・シロヤシオなどがみられる。また、2003年静岡国体のカヌー競技会場で、「カヌーの町」として、カヌー教室やカヌー大会を定期的に開催している。

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