白水ダムはくすいだむ

JR豊後竹田駅の南西約11kmの里山にある。水に恵まれない周辺地域の安定水源として、1934(昭和9)年着工、1938(昭和13)年に完成した石造りのダム。正式名称は「白水溜池堰堤水利施設一溝」という。
 設計は小野安夫技師によるもので、堰堤下の岩盤が弱いため、水圧を抑える工夫がされている。右岸は「武者返し」と呼ばれる曲面流路、左岸は階段状の流路で、流れが緩やかになるように設計されている。堤高約14m・堤長約87mの壁面を水が流れ落ちるさまは、まるで白いレースのカーテンのようである。
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みどころ

壁面の水の流れは白さが際立ち、シルクのように柔らかな印象を受ける。これは、堰堤の表面全体に石を張り巡らしているためで、軟弱な地盤を保護するために流れを弱めるとともに、白く美しい水流を生み出した。その優美さは女性的で、“日本一美しいダム”と称されるのも頷ける。地形の特徴を踏まえたうえで、的確な構造を作り上げた技術や、造形的な美しさを認められ、国の重要文化財に指定されている。
 堰堤下で、右岸・左岸を行き来することはできないため、車でのアプローチはそれぞれに。
 周辺は緑深い山里で、新緑や紅葉の時期に周囲の色あいが変化すると、白い流れと織りなす景色はひときわ美しい。
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補足情報

*2018(平成30)年~2022(令和4)年までの、10月下旬~6月上旬は、工事のため堰堤からの越流が停止される予定。見学不可の場合もあるため事前確認が必要。
https://www.pref.oita.jp/soshiki/11607/hakusui-info.html 大分県