長湯温泉ながゆおんせん

久住山を背に、芹川のほとりに湧く温泉。竹田市直入町の中心エリアであり、付近には旅館や商店が立ち並ぶ。「風土記」にも記載があるとされる古い歴史をもつが、江戸時代に岡藩主・中川氏に愛され、岡藩普請による御前湯が作られ、温泉地として整っていった。
 高濃度の炭酸を含む茶褐色の湯で知られ、慢性消化器病などに効能があるという。炭酸泉は飲泉もよいとされる。
 芹川に湧く「ガニ湯」は、囲いのない開放的な混浴露天風呂。このほか「長生湯」、「温泉療養文化館 御前湯」などの立ち寄り湯があり、宿は芹川周辺に多いが、少し離れたところにもある。
 炭酸泉活用の研究においてドイツから学び、温泉療養地として知られるドイツのバートクロツィンゲン市と友好姉妹都市を結んで交流が続いている。御前湯の外観や町なかの飲泉所などにドイツ風のデザインが見られるのはそのためである。
 久住山・大船山などの登山基地として、また周辺のキャンプ帰りの立ち寄り温泉地としても利用される。
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みどころ

いちばんの特徴は高濃度の炭酸を含むその泉質。なかでもラムネ湯とよばれる気泡湯は、プチプチと湧き出る気泡が体の表面につくほどで、立ち寄り温泉施設「ラムネ温泉館」で体感できる。32度のぬるめの湯は外湯で冬は寒いが、42度の内湯と交互に浸かると、次第に体の内側から温まってくる。建築家の藤森昭信氏が設計したという黒白ストライプの建物も印象的で、壁は焼き杉と漆喰、屋根には銅板が張られ、どこかモダンな雰囲気だ。
 なお、宿泊施設の多くで、立ち寄り湯の利用ができる。
 町は小ぢんまりとした温泉場で、そぞろ歩きにちょうどいいコンパクトサイズ。取り立てて何があるというわけでない、開発されすぎない風情が好ましく、湯上がりには、芹川べりや昭和を感じる風情ある町並みを散歩するのがおすすめだ。