日田祇園祭ひたぎおんまつり

約300年の伝統を誇る日田の夏の伝統行事。毎年7月、疫病や風水害を払うとともに安泰を祈念し、絢爛豪華な山鉾が祇園囃子の音色とともに隈・竹田地区、豆田地区の町並みを巡行する。毎年作り替えられる山鉾は「ヤマ」と呼ばれ、現在、祭りで曳き出されるヤマは、隈地区の三隈町、大和町、竹田地区の川原町、若宮町、豆田地区の下町、上町、港町、中城町の出す8基と平成2年に製作された全高10mの平成山鉾1基の計9基。
 祭りは7月20日過ぎの土・日曜日に開催。祇園の2日前の木曜日に行われる「集団顔見世」では、隈・竹田・豆田地区の各山鉾が勢揃いする。夜には提灯をつけた山鉾が巡行する「晩山」も行われる。2016(平成28)年にユネスコの無形文化遺産に登録された。
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みどころ

高さ10mを超す山鉾が壮麗。特に集団顔見世で市内9基の山鉾が一堂に集まるさまは一度は見ておきたい。夜、提灯を灯し巡行する晩山も幻想的で、ぜひ泊りがけで訪れてほしい。
 背面を飾る垂れ幕が見送り幕、周囲を囲む幕を水引幕といい、ラシャ地に金糸を用い虎や龍などを刺繍した幕がとても美しい。古くは天保年間(1831~1845年)のものもあり、現在も巡行に使用されているのも驚きで、祭り見学の際には山鉾の飾りに注目したい。また、祭りを演出する囃子も見事。篠笛を主旋律に、太鼓、小太鼓、三味線で構成され、俗曲や端唄などを元にした30数曲目が演奏される。雅かつ重厚な音色で、天領の歴史をそのまま音にしたような豊かな響きが感じられる。
 祭り期間中以外でも、日田祇園山鉾会館では、実際に使用された山鉾や水引幕が展示され見学可能。こういった常設のガイダンス施設を整備することで、観光資源としての価値を守っている。