香椎宮かしいぐう

福岡市北東部、香椎に鎮座する神社。筑紫国橿日宮(かしひのみや)で国造りの基礎を築いていた仲哀天皇が、3世紀ごろこの地で亡くなり、祀られたのが起源とされる。のちに神功皇后も合祀、香椎廟と称され、朝廷から格別の待遇を受けた。平安期ごろからは香椎宮とよばれるようになった。
 本殿は724(神亀元)年に建立。現在の社殿は1801(享和元)年に筑前藩10代藩主黒田長順により再建されたもので香椎造*とよばれる建築様式。
 御神木「綾杉」は、神功皇后ゆかりの杉。仲哀天皇の遺志を継ぎ、自ら三韓渡航を果たした神功皇后が、帰国の際、剣、鉾、杖の三種の宝を埋めた場所に目印として植えた杉枝が育ったものと伝わる。本殿の右奥手には橿日宮の跡地、古宮があり、地名の由来となった御神木の香椎が残る。
 境内周辺にある神水「不老水」は、仲哀天皇、神功皇后の家臣であった武内宿禰がこの泉の水を飲み三百歳余の長寿を得たという伝説に由来する。日本名水百選に指定。
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みどころ

西鉄香椎宮前駅から続く広い参道は、天皇の勅使のための道「勅使道」とよばれ、香椎宮の格の高さを今に伝える。現在は左右の楠並木がアーチのように枝を伸ばし、街灯や飲食店が立ち並ぶ。
 石造りの鳥居をくぐった境内は池が配され広々としている。楼門をくぐった先に立つ「綾杉」は、空に向かって真っ直ぐに立ち伸びる枝ぶりが見事。樹齢1,800年を越え、長い間この社を見守ってきた神木としての風格がある。綾杉の左奥手にある本殿は、入母屋造や切妻屋根など日本の伝統的な建築様式が組み合わさった唯一の様式といわれる。周辺の木々に映える朱塗りの社殿や、重厚感のある檜皮葺の屋根など見ごたえがある。
 不老水は境内を出た住宅街に立つ、小さな鳥居の先の祠の中に今も湧き、柄杓で飲むことができる。
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補足情報

*香椎造:正面3間、側面3間、一重入母屋造で、正面と左右側面にそれぞれ1間の向拝がつく。正面には千鳥破風が、左右側面には切妻造の1間の車寄せがついている。
関連リンク 香椎宮(WEBサイト)
参考文献 香椎宮(WEBサイト)
パンフレット「香椎宮」
香椎宮境内看板記載事項

2020年04月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。