紫雲出山のサクラしうでやまのさくら

紫雲出山は香川県三豊市、瀬戸内海に突き出た荘内半島のほぼ中央部にある標高352mの山。荘内半島には浦島伝説の地がいたるところにあり、紫雲出山は浦島太郎が玉手箱を開け、出た白煙が紫色の雲になって山にたなびいたことから名づけられたといわれる。
 山頂近くまで車で行くことができ、山頂の展望台からは瀬戸内海の多島美が見渡せる。東に塩飽諸島や瀬戸大橋、西に燧灘、北は笠岡諸島から中国山地にまで及ぶ眺望がすばらしい。山頂部一帯には弥生時代中期の高地性集落の遺跡群があり、遺跡館が併設されている。
 春には自生のヤマザクラのほか、ソメイヨシノ、八重桜、陽光桜など、約1,000本の桜で彩られる桜の名所。島を行き交う船からも半島全体が淡いピンク色に染まるのが見える。初夏には山頂に至る遊歩道沿いのアジサイが美しい。
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みどころ

三方を海に囲まれた荘内半島は、県内本土側では一度に多くの島を眺められる随一のスポット。東側はすぐ足元に船のスクリューのような形をした粟島が、北側は岡山県との県境の島がすぐ目前に迫り、西側にはイリコ漁で知られる伊吹島や愛媛県の島々が見える。地図で見たとおりにそれぞれの位置に横たわる島々は、ひとつひとつ表情が違って愛らしい。桜の季節は霧が出やすく、晴天時でも霞みがちだが、それはそれで幻想的な風景。空気が澄んだ秋の晴天時は島影がくっきりと鮮明になり、手を伸ばせば届きそうなほど近くに感じられる。桜以外にも、アジサイ、スイセン、沈丁花、ツバキなど季節の花が楽しめ、夕日スポットとしても人気。
 紫雲出山遺跡館にある喫茶コーナーの窓際のカウンター席は、素晴らしい眺めをゆっくり堪能できる特等席。山頂に至るドライブウェイは少し狭く急なため運転には注意が必要。半島を縦走する登山道は「四国のみち」として標識などが整備されている。(勝田 真由美)
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補足情報

*ニューヨークタイムズが選出した「2019年行くべき52カ所の旅行先」で日本から唯一、第7位にランクインした「瀬戸内の島々」を象徴する写真として、桜の季節の夕暮れ時に紫雲出山から撮影された写真が使用された。
*桜の老木化が進んでおり、病気の枝を切除して樹勢を回復させるため、現在、大規模な剪定を実施している。
関連リンク 三豊市観光交流局(WEBサイト)
参考文献 三豊市観光交流局(WEBサイト)
うどん県旅ネット(公益社団法人香川県観光協会)(WEBサイト)
『分県登山ガイド 香川県の山』山と渓谷社

2022年11月現在

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