屋島寺やしまじ

屋島の南嶺(標高293m)にある天平勝宝年間(749~757年)の創建とされる古刹で、四国霊場八十八ケ所第84番札所。朝廷に招かれた鑑真が唐から当時の都、奈良に向かう途中、屋島に立ち寄り、北嶺*の霊地に普賢堂を建てたのがはじまりとされる。815(弘仁6)年には弘法大師が嵯峨天皇の勅願により、北嶺にあった伽藍を南嶺に移し、第84番の霊場と定めた。
 本堂は鎌倉時代後期の造営だが、以前は1618(元和4)年に竜厳上人が半解体の大修理を行った時代のものとされていた。1957(昭和32) 年の解体修理で、各所に鎌倉時代の特徴の古材、建築手法が見られ、鎌倉様式の黒漆と丹塗りが鮮やかな建物に復元された。本尊の十一面千手観音坐像は榧(かや)材の一木造りで重厚な安定感があり、10世紀頃の作とされる。像の保存状態がよく、すべての手が光背とともに当初のまま伝えられており、宝物館で拝観できる。書院には地表に露出した白い凝灰岩を雪に見立てた「雪の庭」があり、宝物館のテラスから見学可能。
 本堂の隣には太三郎狸が祀られている蓑山(みのやま)大明神がある。太三郎狸はジブリ映画にも登場する日本三大名狸*の一つで、道に迷った鑑真や弘法大師を案内したり、屋島に凶事が起こるときには、住職に知らせるなど数々の善行を積んだという伝説が伝わる。
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みどころ

山上駐車場からは新しくて立派な東大門から入る。石畳と玉砂利の白さがまばゆい境内にお堂や七福神像などが整然と並んでいる。梵鐘は鎌倉時代に平家供養のために造られたと伝わる。大きなタヌキの石像が愛らしい蓑山大明神は、どちらかが死ぬまでつがいを解消しない狸の習性に倣い、縁結び、夫婦円満、子宝のご利益で知られる。歩き遍路では木立の中にたたずむ仁王門からの参拝となり、続く四天門の奥に朱塗りの本堂が見えて美しい。遍路道の登山道はよく整備されており、途中、空海にまつわる伝説がある加持水(かじすい)や不喰梨(くわずのなし)、安山岩の板状節理が露出している畳石(たたみいし)などがあり、飽きることなく30分ほどで仁王門に着く。
 宝物館は本尊や雪の庭のほか、源平合戦ゆかりの品も見られるので、ぜひ一度は入館したい。(勝田 真由美)
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補足情報

*北嶺にある「千間堂跡」が屋島寺の前身となる寺院があった場所と考えられている。
*屋島の太三郎狸、淡路の芝右衛門狸、佐渡の団三郎狸。
関連リンク 南面山 千光院 屋島寺(WEBサイト)
参考文献 南面山 千光院 屋島寺(WEBサイト)
うどん県旅ネット(公益社団法人香川県観光協会)(WEBサイト)
『香川県の歴史散歩』山川出版社

2022年11月現在

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