飯野山いいのやま

丸亀市と坂出市にまたがる飯野山は、標高422m、讃岐平野のほぼ中央に立つ独立峰である。周囲は約6kmに及び、どの方角から見ても円錐形*で、なだらかな裾野が美しい。穏やかな山容は別名「讃岐富士」と呼ばれ、地元の人々に親しまれている。瀬戸内海国立公園に含まれており、コナラ、クヌギ、ヤマザクラなどを中心とした広葉樹が多く、風景林*に指定されている。南麓の丸亀市飯山町は桃の産地で、春には麓が桃色に染まる。
 片道約1時間で登れる気軽さからウォーキングやハイキングに人気で、ほとんど毎日登っている愛好者もいる。登山道には木立の間に展望が開けるポイントがあり、讃岐平野を360度眺めながら登ることができる。山頂には、薬師堂や昭和天皇歌碑、讃岐富士を造ったという伝説がある大男「おじょも」の足跡、大天狗、石鎚と呼ばれる巨石や巨岩が点在する。
 2009年(平成21)、標高422mにちなみ4月22日を「讃岐富士の日」とし、 毎年「里山まつり」(山開き)を開催している。
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みどころ

瀬戸大橋を渡って香川県に入ると間もなく、坂出ジャンクションで飯野山に最接近する。独立峰で田園地帯の真ん中にあるため、標高のわりに海側からも山側からもよく見え、地元では移動の目印となっている。金刀比羅宮や丸亀城からも印象的な山容を眺めることができる。ため池や水田とのコントラストもよく、丸亀市土器町にある宮池からは、4月半ばと8月下旬の数日間、早朝の約5分間だけ、山頂から昇る太陽が水面に映る「ダブルダイヤモンド讃岐富士」を見ることができる。
 登山口は丸亀市飯山町側、坂出市側、丸亀市飯野町の丸亀野外活動センターの3か所があり、いずれのルートでも山頂まで1時間弱。登山道はよく整備されていて、標識や看板のほかベンチもある。飯野山には車道がないので、自然や景色を楽しみながら自分のペースで登ることができる。頂上は木が茂っていて展望がきかないため、南側に少し下がったところにある展望台から眺めるのがおすすめ。(勝田 真由美)
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補足情報

*飯野山は火山ではなく、山が侵食によって屋島のような台地状のメサと呼ばれる状態になり、その後さらに侵食が進み、ビュートと呼ばれる孤立した丘となったもの。
*風景林:全国の国有林の中から選定したレクリエーションの森で、名所・旧跡等と一体となって景勝地を形成している森林
関連リンク 丸亀市(WEBサイト)
参考文献 丸亀市(WEBサイト)
丸亀散歩 観光スポット一覧(丸亀市観光協会)(WEBサイト)
坂出市(WEBサイト)
うどん県旅ネット(公益社団法人香川県観光協会)(WEBサイト)
『分県登山ガイド 香川県の山』山と渓谷社

2022年11月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。