大歩危小歩危おおぼけこぼけ

石鎚山の東に源を発する吉野川が、石鎚・剣の山脈を横ぎる8kmのわが国の代表的な峡谷をつくりだす。大昔、四国山地が隆起する以前に流れていた吉野川が、山地が隆起するに従ってどんどん下刻をし、四国山地を横切るような峡谷となったのである。
 「ボケ」は、切り立った崖を表す自然地形名称「ホケ」が地名化したものである。今から約200年前の古文書には、大歩危小歩危は尾根沿いの険しく細い道(険路)の名前であった。その後、国道や鉄道が整備されたことに伴い、エリア全体の地名として活用されるようになった。面白い当て字を用いている。
 大歩危は、藤川谷川と吉野川の合流点から西字地区にある第二吉野川橋梁までの約3km、小歩危は吉野川第二鉄橋から白川谷川までの約3kmをいう。古来、難所として知られ、渓谷両岸には各山腹に古道が通っていて、渓谷両岸の往来は、下流の祖谷川と吉野川の合流点の川崎か、約33km上流の榎渡しまで遡らなければならなかった。いまでは国道32号線、JR土讃線が通っており、訪れるのに便利になっている。
 大歩危には観光遊覧船があり、船乗り場まで JR土讃線大歩危駅*から徒歩20分。小歩危を探勝するには小歩危駅下車。河原と奇岩をぬって遊歩道がある。車の場合、国道32号線 第二吉野川橋梁の丁度真ん中あたりに「ここから小歩危峡」の標識がある。近年、ラフティング*の場としても人気がある。 
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みどころ

清流が岩石*の間を流れ、淵や早瀬がいくつも見られる。鉄道の車窓あるいは車から、大歩危・小歩危を垣間見ることはできるが、特に大歩危は、大歩危峡観光遊覧船を利用して、峡谷のすばらしさを味わってほしい。 遊覧船は25人乗り、往復4kmを約30分で往来する。大歩危しか見られない三名含礫片岩*も見ることができる。深い淵や奇岩怪石が多い大歩危に対して、小歩危は岩の形も優しく規模も小さい。
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補足情報

*大歩危駅:大歩危探勝の鉄道利用者は、大歩危駅には特急もすべて停車するので便利である。大歩危駅から川下りの舟乗り場まで、国道32号は交通量が多いので要注意。
*ラフティング:小歩危では国内最高水準の激流をラフティングする。1日1回、約9kmを約8時間(川にいる間は5時間前後)。大歩危では中級レベルのラフティング。1日2回、約4kmを3時間半(川にいる間は1時間20分)。
*岩石:美しい岩肌を見せているうすねずみ色の岩石は、普通三波川系と呼ばれる結晶片岩で変成岩の一種。ここの結晶片岩は変成される前の状態によって4つに大きく分けられる。砂が堆積してできた砂岩・泥が堆積してできた頁岩・小さな岩や礫・火山岩や凝灰石の系統のもの、これらが熱や圧力を受けて結晶片岩となった。
*三名含礫片岩:礫岩(小石がたくさん含まれている岩)が高圧の変成作用をうけ扁平化したもの。三名は旧三名村で地名。
関連リンク 大歩危祖谷ナビ(三好市観光協会)(WEBサイト)
参考文献 大歩危祖谷ナビ(三好市観光協会)(WEBサイト)

2023年02月現在

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