裏匹見峡うらひきみきょう

裏匹見峡は、JR山陰本線・山口線の益田駅から南東へ約25km、広島県廿日市市との境界近くにある峡谷。
 この一帯では約9000万年前の中生代白亜紀に非常に大規模な火山活動が起き、流紋岩~デイサイト質の火砕流が噴出し、主に凝灰岩や溶結凝灰岩からなる匹見層群を形成。匹見川および支流の広見川の浸食によって形成された匹見峡は、西中国山地国定公園の景勝地で、大きく4地区に分かれる。益田市街から匹見へ向かう国道488号沿いに「前匹見峡」、匹見町中心部を挟んで東に「表匹見峡」、南に「裏匹見峡」、そして「表匹見峡」からさらに東、広島へと抜ける国道191号沿いに「奥匹見峡」がある。
 裏匹見峡は、全長約4kmのV字谷で、渓流伝いに遊歩道が整備され、夫婦淵、五段の滝、平田淵などの見どころが連続する。いきり立つ三段の絶壁である鈴ガ岳の付近でクライマックスに達する。西中国山地最高峰の恐羅漢山を始めとした山々を源流とするこの渓谷では、約9000年前、白亜紀の火山活動の跡を断層などからうかがい知ることができる。
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みどころ

表匹見峡*、前匹見峡*、奥匹見峡*と合わせた4つの渓谷と合わせて匹見峡と呼ばれ、それぞれが異なった顔を見せる景勝地だが、裏匹見峡は絶壁や滝などダイナミックな力強さを感じる景観と言われる。夫婦淵に始まる遊歩道は、五段滝・平田淵・流石の瀬・母ノ胎内くぐりなどと荒々しく変化しながらつづき、鈴ガ岳付近に来てクライマックスに達する。鈴ガ岳はいきり立つ三段の絶壁で、ことにその絶壁が紅葉に彩られる秋は壮麗である。苔むした岩や遊歩道を覆う木々も美しく、中でも新緑と紅葉の頃が見所とされる。
 国土交通省の水質調査で何度も日本一に選ばれ、日本で唯一ダムのない一級河川としても知られる高津川、匹見川、広見川はその支流とあって水が澄んでおり、ヤマメやゴギなどの渓流魚が見られる。また、清流が残る地域にしか生息しないアカショウビン(カワセミ科の鳥)が、裏匹見峡周辺ではみることができる。
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補足情報

*表匹見峡:匹見町道川と匹見町匹見の境界の700~800mの山を、匹見川の水流によって侵食してできた全長4kmの渓谷。
*前匹見峡:高津川支流の匹見川中流域広瀬の新殿(新田)から上流にかけての1kmにわたる峡谷で、嵐山や碁盤岩、天狗岩,鬼の竈などの奇岩や巨石の散在する間を清流が流れる匹見峡の入り口。
*奥匹見峡:匹見川支流三の谷川流域一帯で、匹見峡の中では最も険しい峡谷。鎧滝、小竜頭の滝、大竜頭の滝などの他に、シャクナゲの群落がある。