ヨズクハデよずくはで

ヨズクハデは、その名の通りヨズク(フクロウ)のようなハデ*(稲を乾燥させるために干す際に用いる土台)のことを指す。大田市温泉津町西田地区に受け継がれる伝統的な干し方であり、秋の収穫期になると四角錐型に組んだ丸太に稲束が架けられた様子を見ることができる。その姿がフクロウが羽を休める姿に似ていることからヨズクハデと呼ばれる。
 丸太は約6mのものを4本使用しており、1基で米5俵分の稲を架けられるほど大きなものになる。一説には、海風や急峻な地形により稲の干し方に苦心する農民を見た2柱の海神、上津錦津美命(うわづわたつみのみこと)と上筒男命(うわづつおのみこと)が、漁網を干す際の方法を伝えたことが起源とされる。
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みどころ

立体的になる構造は安定性が高く、海風で倒れることが少ないうえ、狭い面積でも多くの稲束を干せることから、急峻な地形に棚田が広がる西田地区に適した干し方である。
 一見すると、フクロウのような形は異形に感じるかもしれないが、地域に適した干し方に先人の知恵を感じる。巨大なハデが15基程度建ち並ぶ様子は圧巻であり、稲が干された様は日本の秋を感じさせる。
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補足情報

*ハデ:稲の収穫後、稲を乾燥させるために干す際に用いる土台のこと。島根県での一般的な呼び方で、他地域では「稲掛け(いねかけ)」や「稲架け(はざかけ)」などと呼ばれる。