津和野弥栄神社の鷺舞つわのやさかじんじゃのさぎまい

大橋のすぐ西にある弥栄(やさか)神社の例祭の祇園祭に奉納される古典芸能神事。京都八坂神社の祇園祭の鷺舞が1542(天文11)年に吉見正頼によって、山口を経てこの地に移されたものである。一時、坂崎出羽守の時代に中断したが、1644(正保元)年に復活し、それ以来、古式そのままを今日に伝えている。一方、京都では途絶してしまい、近年、ここの鷺舞を逆移入する結果になった。
 舞は笛・太鼓などの囃子と哀調を帯びた唄いにつれて、雌雄2羽の白鷺がときおり翼を広げ、ゆっくりとしたテンポで舞い踊る。そしてその白鷺を警固するように赤毛の棒振(ぼうふり)が行き交い、傍らでは白木綿の大袖に赤地錦の上衣を着、青地錦の大口袴をはいた羯鼓(かつこ)と呼ばれる二人が狂言を思わせるしぐさで踊る。優雅で、素朴な舞である。
 この鷺舞は、7月20日・27日の午後3時ごろに殿町通りで始められる。その後、弥栄神社の他、町内各所で舞が披露される。
 諸々の儀式、ならわし等は時代の変遷に伴い省略されたが、舞そのものは「日本に只1つ原形を残す鷺舞」と云われるほど正しくうけ継がれ、学術的にも高く評価されている。
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みどころ

「日本に只1つ原形を残す鷺舞」と云われる優雅で素朴な舞を見ることができる。桧の白い羽を用いた衣装が特徴的である。津和野の本町通を練り歩くなど、舞と同時に津和野の町並みも味わうことができる。