津和野の町並みつわののまちなみ

島根県の西端、山陰の小京都と呼ばれる小さな城下町。津和野川に沿って細長く町なみが連なり、東に青野山・西に城山がそびえている。町の中心殿町付近には武家屋敷や白壁の旧家が昔日の姿そのままに立ち、道ばたの掘割には色とりどりの鯉が群れ遊んでいる。
 かつてはツワブキの茂る野であったという津和野の歴史は、吉見頼行・頼直親子が三本松城を築いた鎌倉末期に始まる。以来、吉見氏14代、坂崎出羽守*、亀井氏11代とつづいて栄えた。
 わずか四万三千石でありながら、学問を尊び、文化の発達に努め、その水準は十万石の格式に相当するほどのものであったといわれる。その流れは明治維新後も続き、津和野カトリック教会*が建設され、文豪森鷗外、哲学者西周が育つなど、城下町でありながら近代的な特有の文化をつくった。
#

みどころ

城下町時代の面影を残す町並みの中に西欧建築である津和野カトリック教会が溶け込んでいる。森鷗外や西周ら文化人の育った背景を垣間見ることができる。
#

補足情報

*坂崎出羽守:?~1616年。江戸初期の武将。宇喜多左京亮(うきたさきょうのすけ)と称し、徳川家康に仕える。関ケ原の戦に功をたて、津和野領主となり、坂崎と改める。千姫事件で徳川秀忠の怒りを買い悲運の最期を遂げる。わずか16年の治世であったが、出丸の築城、市街の整備など数々の業績を残した。
*津和野カトリック教会:城下町に溶け込んだゴシック式建築。ステングラスと石造りの教会。
*森鷗外旧宅:森鷗外が幼少期を過ごした家。四畳一間の勉強部屋などが見られる。
*西周旧居:哲学者・西周が幼少期、少年期を過ごした家。