浦富海岸うらどめかいがん

浦富海岸(うらどめかいがん)は鳥取県岩美郡岩美町に位置するリアス海岸である。鳥取砂丘の東側5~20kmにあり、その範囲は東端の陸上岬(くがみみさき)から西端の駟馳山(しちやま)までの間である。浦富海岸は海食・風食作用を受けた花崗岩の断崖・洞門・奇岩が点在しており、海上にも大小の島・岩が点在するため、山陰の松島と呼ばれている。日本百景(昭和2年)、名勝及び天然記念物(昭和3年)、山陰海岸国立公園(昭和38年)に指定されている。
 また、この一帯の海域は透明度が高く、美しい海底景観が楽しめる海域公園になっている。ダイビング、シーカヤック等のマリンスポーツも盛んであり、遠浅の浦富海水浴場、牧谷海水浴場、東浜海水浴場がある。
 さらに、京都府の丹後半島から鳥取県鳥取市まで続く山陰海岸エリアが2010(平成22)年にジオパーク*として世界ジオパークネットワークに加盟認定されている。浦富海岸はそのジオパークの西寄りに位置しており、海浜の地形、地質の特徴を学ぶ博物館である山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館がある。
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みどころ

海岸美を楽しむには、小さな岬と入江が連なる海岸沿いの遊歩道から見る方法と遊覧船で海から見る方法がある。遊歩道は西側では網代漁港から田後の3km、東側では牧谷から大羽尾の2.5kmに設けられ、途中の数カ所の展望台から眺められるようになっている。 
 さらに網代漁港と田後とを結ぶ道路(網代港岩美停車場線)から海岸に続く遊歩道に入ることもできる。西側の遊歩道は網代漁港にある網代神社脇からの中国近畿連絡自然歩道として城原海岸まで続いている。そこからは、千貫松島*、蜩洞門、鴨が磯、酒宴洞門、城原海岸などの景観を見ることができ、また、沖に目をやれば菜種島などの島々が見られる。随所に岬に囲まれた白砂青松の入り江があり、遊歩道から下りれば磯遊びやダイビングが楽しめる。
 なお、遊歩道から眺める展望台は地形上の無理があるため、必ずしも最適な角度と方位で奇岩を見ることができないことに注意が必要である。そして、海抜40m前後の高度を階段で登り降りしつつ歩くにはハイキング、あるいはマリンスポーツや磯遊びをするくらいの準備が必要である。純粋に観光として絶景を楽しむには遊覧船観光が断然有利であり、これは蒲生川河口から随時出航している。この遊覧船を利用すると、鳥取藩主池田侯が嘆賞した老松の茂る海食洞門の千貫松島や、春には野生の菜の花が咲く菜種島を間近に鑑賞することができる。
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補足情報

*ジオパークとは、地質学的重要性を有する観光地や景観を、保護・教育・持続可能な開発として一体管理するための地理的領域で、ユネスコにより提唱されている。山陰海岸ジオパークは京都府丹後半島から始まり豊岡市、香美町、新温泉町、岩美町、鳥取市まで続く地質的特性を訴求している。
*千貫松島は花崗岩(かこうがん)の離れ岩で、トンネルのように穴が貫通している海食洞門である。高さ10mの洞門の頂には、見事な1本松が生えている。旧鳥取藩主の池田綱清公が舟遊びをした時、この島のあまりの美しさに「わが庭にこの岩つきの松を移すことができた者に禄千貫を与えよう」と言ったことから、千貫松島と呼ぶようになった。なお、洞門は小型の遊覧船で通り抜けることができる。
関連リンク 岩美町(WEBサイト)
参考文献 岩美町(WEBサイト)
岩美町観光協会(WEBサイト)
一般社団法人鳥取市観光コンベンション協会(WEBサイト)

2024年07月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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