奈良国立博物館
近鉄奈良線奈良駅から東へ800mほどのところにある。日本で2番目にできた国立博物館で、仏教美術に関する文化財を中心に収蔵しており、展示も仏教美術の鑑賞と研究に役立つように考えられている。ギャラリーは「なら仏像館」*1・「青銅器館」*2・「東新館」*3・「西新館」*4の4つ。また、仏教美術関連の調査研究資料の作成・収集などを行い、関係する図書や写真を公開する仏教美術資料研究センターや、国宝や重要文化財等の保存修理と、それに伴う調査研究を行う文化財保存修理所などの施設がある。
名品展(平常展)での展示品は、博物館の多数の収蔵品と、近畿地方を中心とする古社寺や個人などからの多くの寄託品*5からなっており、時々に展示替えがなされる。特別展なども行われ、例年10月下旬~11月中旬に正倉院展*6が開かれることはよく知られる。また、敷地内に織部好みの茶室・八窓庵*7が移築されているほか、春日大社に属していた東西塔跡*8がありその礎石が残っている。
名品展(平常展)での展示品は、博物館の多数の収蔵品と、近畿地方を中心とする古社寺や個人などからの多くの寄託品*5からなっており、時々に展示替えがなされる。特別展なども行われ、例年10月下旬~11月中旬に正倉院展*6が開かれることはよく知られる。また、敷地内に織部好みの茶室・八窓庵*7が移築されているほか、春日大社に属していた東西塔跡*8がありその礎石が残っている。
みどころ
東大寺、興福寺、春日大社などに囲まれた、広々とした奈良公園の一角に位置しており、なら仏像館の明治期の堂々とした西洋建築と正倉院の宝庫がイメージされた新館が際立つ。 同館の所蔵品のほか、寺院・神社をはじめ、文化財所有者からの寄託品も数多く展示している。飛鳥~鎌倉時代の代表的な仏像を一度に鑑賞することができ、仏教への信仰が生み出した優れた美術の魅力と、その背景にある豊かな歴史・文化について理解するのに格好の博物館である。
秋に開催される正倉院展は、主に奈良時代の貴重な宝物を目の当たりにできる機会とあって、例年、全国から多くの来館者があり、ぜひ、観覧したいもの。
秋に開催される正倉院展は、主に奈良時代の貴重な宝物を目の当たりにできる機会とあって、例年、全国から多くの来館者があり、ぜひ、観覧したいもの。
補足情報
*1 なら仏像館:明治時代の西洋建築で国の重要文化財に指定されている。東西新館とは地下回廊でつながっており、地下回廊には、ミュージアムショップやカフェが設けられている。皇室、公共機関の施設の建設に関わった建築家の片山東熊の設計で1894(明治27)年に竣工。煉瓦造、平屋建、内部に13の展示室がある。飛鳥時代から鎌倉時代にいたる日本の仏像を中心に、国宝、重要文化財を含む常時100体近くの仏像を展示している。
*2 青銅器館:なら仏像館と渡り廊下でつながっている青銅器館は、1937(昭和12)年に収蔵庫として建設された。現在は、中国の商(殷)時代から漢時代(B.C.17~A.D.3世紀)までの中国古代の青銅器を展示している。これらの青銅器類は、古美術商店「不言堂」の初代社長の坂本五郎(1923~2016年)から寄贈されたコレクションである。
*3 東新館:1997(平成9)年に竣工。外観は正倉院宝庫をイメージしており、西新館とは中央エントランスホールで連結。特別展や正倉院展のほか、特別陳列などの展覧会の会場として利用されている。
*4 西新館:1972(昭和47)年に完成。外観は正倉院宝庫をイメージしており、1階壁面はガラス張り。絵画・書跡・工芸品・考古遺品の名品展(平常展)を行っており、ほぼ1カ月ごとに展示替えをする。正倉院展など特別展の会場にもなり、名品展が行われない期間もある。
*5 寄託品:各地の社寺や個人から国指定品など多くの文化財が寄託されている。奈良の社寺からの寄託品では元興寺薬師如来立像、薬師寺僧形八幡神・仲津姫命像・神功皇后像、神野寺弥勒菩薩半跏像、金竜寺菩薩立像、岡寺義淵僧正坐像、長谷寺銅板法華説相図などが有名。
*6 正倉院展:正倉院宝庫で毎年秋に行われる宝物の点検に合わせ、1946(昭和21)年から開催され、毎年、基本的には奈良国立博物館で行われている。正倉院には、756(天平勝宝8)年以降に光明皇后から東大寺に献納された聖武天皇の遺愛品を中心に、東大寺での法要で使用された供養具、荘厳具、伎楽の装束、楽器類及び皇族・貴族からの献納品、東大寺の建立を司った造東大寺司に関連する品、文書及び宮中儀式具や武器などの宝物が収蔵されている。
*7 八窓庵:もと興福寺大乗院内にあった江戸時代中期の建築。入母屋造、茅葺きで江戸期の茶人・古田織部好みと伝えられる多窓式の古雅な趣のある茶室。
*8 春日東西塔跡:春日大社一之鳥居から東に進み参道の北側にある。東西に並んだ2基の塔跡で、現在その礎石が廻廊や門の部分を含めなら仏像館の南側に残っている。西塔は1116(永久4年)年に関白の藤原忠実によって、東塔は1140(保延6)年に鳥羽上皇(とばじょうこう)の本願によって建立され、1180(治承4)年に平重衡による南都焼き討ちにあい、焼失。その後東塔は再建されたが、1411(応永18)年に落雷により焼失し、その後、再建されることはなかった。
*2 青銅器館:なら仏像館と渡り廊下でつながっている青銅器館は、1937(昭和12)年に収蔵庫として建設された。現在は、中国の商(殷)時代から漢時代(B.C.17~A.D.3世紀)までの中国古代の青銅器を展示している。これらの青銅器類は、古美術商店「不言堂」の初代社長の坂本五郎(1923~2016年)から寄贈されたコレクションである。
*3 東新館:1997(平成9)年に竣工。外観は正倉院宝庫をイメージしており、西新館とは中央エントランスホールで連結。特別展や正倉院展のほか、特別陳列などの展覧会の会場として利用されている。
*4 西新館:1972(昭和47)年に完成。外観は正倉院宝庫をイメージしており、1階壁面はガラス張り。絵画・書跡・工芸品・考古遺品の名品展(平常展)を行っており、ほぼ1カ月ごとに展示替えをする。正倉院展など特別展の会場にもなり、名品展が行われない期間もある。
*5 寄託品:各地の社寺や個人から国指定品など多くの文化財が寄託されている。奈良の社寺からの寄託品では元興寺薬師如来立像、薬師寺僧形八幡神・仲津姫命像・神功皇后像、神野寺弥勒菩薩半跏像、金竜寺菩薩立像、岡寺義淵僧正坐像、長谷寺銅板法華説相図などが有名。
*6 正倉院展:正倉院宝庫で毎年秋に行われる宝物の点検に合わせ、1946(昭和21)年から開催され、毎年、基本的には奈良国立博物館で行われている。正倉院には、756(天平勝宝8)年以降に光明皇后から東大寺に献納された聖武天皇の遺愛品を中心に、東大寺での法要で使用された供養具、荘厳具、伎楽の装束、楽器類及び皇族・貴族からの献納品、東大寺の建立を司った造東大寺司に関連する品、文書及び宮中儀式具や武器などの宝物が収蔵されている。
*7 八窓庵:もと興福寺大乗院内にあった江戸時代中期の建築。入母屋造、茅葺きで江戸期の茶人・古田織部好みと伝えられる多窓式の古雅な趣のある茶室。
*8 春日東西塔跡:春日大社一之鳥居から東に進み参道の北側にある。東西に並んだ2基の塔跡で、現在その礎石が廻廊や門の部分を含めなら仏像館の南側に残っている。西塔は1116(永久4年)年に関白の藤原忠実によって、東塔は1140(保延6)年に鳥羽上皇(とばじょうこう)の本願によって建立され、1180(治承4)年に平重衡による南都焼き討ちにあい、焼失。その後東塔は再建されたが、1411(応永18)年に落雷により焼失し、その後、再建されることはなかった。
関連リンク | 奈良国立博物館(WEBサイト) |
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参考文献 | 奈良国立博物館(WEBサイト) |
2024年12月現在
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