京都国立近代美術館きょうとこくりつきんだいびじゅつかん

地下鉄東西線東山駅から徒歩約10分、市バス岡崎公園 美術館・平安神宮前すぐ。岡崎公園*内にあり、平安神宮の大鳥居を挟んで京都市京セラ美術館と向かい合う。敷地面積5,000m2、延床面積9,983m2。1963(昭和38)年、東京国立近代美術館の京都分館として京都市勧業館別館を改装し開館、1967(昭和42)年に京都国立近代美術館として独立。1986(昭和61)年に新館が完成した。設計は、世界的建築家・槇文彦*によるもので、平安京の町割りを想起させるようなグリッド(格子、碁盤の目)を基調としている。
 主な所蔵品には竹内栖鳳「春雪」、土田麦僊「大原女」、村上華岳「観音之図(聖蓮華)」などの日本画、須田国太郎「鵜」、安井曾太郎「婦人像」、アンリ・マティス「鏡の前の青いドレス」などの洋画、北大路魯山人「色絵金彩椿文鉢」などの陶芸、ロバート・キャパ「スペイン(共和国兵士の死)」をはじめ欧米を中心とする写真コレクションなどがある。また、河井寬次郎の陶芸作品425点にもおよぶスペシャルコレクション、井田照一の版画作品群など、さまざまなジャンルの作品を所蔵する。4階のコレクション・ギャラリーでは年5回程度の展示替えを行っている。
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みどころ

京都を中心とした西日本の近代美術、特に工芸に重点を置いたコレクションで、現代美術の動向も取り上げ、これらについて紹介している。また、パブロ・ピカソやアンリ・マティス、ピエト・モンドリアンなどの西洋画家の作品も所蔵している。企画展に合わせて、ワークショップや講演会などイベントを開催するほか、映画上映や企画展開催時の金曜日には夜間開館もおこなっている。
 京都国立近代美術館の壁面は、ポルトガル産の花崗岩のグリッドと、対称性をもった正面のデザインによって、京都の歴史を浮かび上がらせたもの。吹き抜けの大階段を中心に、石やガラス、鉄などさまざまな素材を巧みに組み合わせた建物内部のディテールも素晴らしく、建築見学を目当てに訪れる学生や建築家も少なくないという。4階のロビーはガラス張りの休憩スペース、展望スペースとなっており、平安神宮の大鳥居が間近に迫り、遠方に南禅寺の三門や東山連山が一望できる。大きな窓から琵琶湖疏水が眺められる1階のロビーも印象的。
 周辺には平安神宮、南禅寺、ロームシアター京都(劇場)、京都市京セラ美術館、京都府立図書館、京都市動物園など多くの見どころや施設がある。
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補足情報

*岡崎公園:1895(明治28)年に開催された第4回内国勧業博覧会跡地を京都市の公園地に指定して1904(明治37)年に誕生した。敷地面積139,677m2、公園内には京都国立近代美術館のほか、ロームシアター京都、京都市京セラ美術館、京都市動物園、京都市勧業館(みやこめっせ)、京都府立図書館、有料運動施設がある。
*槇文彦(まきふみひこ):1928~2024年(6月6日)建築家。東京生まれ。東大卒業後、ハーバード大に学ぶ。20世紀モダニズム建築を追求し、洗練された作品で世界的に評価されている。代表作は代官山集合住宅(ヒルサイドテラス)、名大豊田記念講堂、幕張メッセ、朱鷺メッセなど。建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞などを受賞した。
関連リンク 京都国立近代美術館(WEBサイト)
参考文献 京都国立近代美術館(WEBサイト)
「全国博物館総覧」ぎょうせい
「京都ミュージアム探訪」京都市内博物館施設連絡協議会

2025年05月現在

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