上賀茂の街並みかみがものまちなみ

上賀茂神社の東、「ならの小川」が神域を出て名を変えた明神川に沿って、土塀を連ねた社家*の屋敷が立ち並び、閑雅なたたずまいを見せている。上賀茂神社に仕える神官の屋敷町として室町時代から発展してきたもので、現在一帯は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。主屋は敷地に奥まって立ち、切妻造・平家建・妻入の特色ある形態を備える。主屋とこれを囲む土塀、門、明神川にかかる土橋や、その水を引き入れた敷地内の庭園などが、独特の歴史的風致を構成している。ちなみに上賀茂名物すぐき漬*の老舗「なり田」の店舗は、かつて社家が住んでいた屋敷を改装したもの。
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みどころ

明神川沿いに並ぶ主屋と緑、これを囲む石垣上の薄茶色の土塀、明神川にかかる土橋等が連続して美しい。家並みは上賀茂神社の本殿より高くなってはならないとされ、平屋、高くても2階までに抑えられており、これが町並みをより美しく見せている。この街並みの東北には上賀茂神社の摂社・大田神社があり、参道東側の「大田ノ沢」には国天然記念物のカキツバタが群生。例年5月中旬ごろが見頃。
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補足情報

*社家:代々特定神社の奉祀を世襲してきた家(氏族)のこと。神官
*すぐき漬:カブの一種であるスグキを塩漬けにした京都を代表する漬物の一つ。スグキは桃山時代に上賀茂の社家で栽培が始められたといわれ、一帯の農家によって受け継がれてきた。なり田も本来はすぐき農家で、京漬物店としての創業は1804(文化元)年。

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