美山かやぶきの里みやまかやぶきのさと

美山(南丹市美山町)の観光拠点である「京都丹波国定公園ビジターセンター」へは京都市中心部から国道162号などで約50km、美山かやぶきの里はさらに府道38号で約6kmの距離にある。美山は京都府のほぼ中央、由良川の最上流部にあって、標高800~900m級の連山の間に開けている。山間を縫って由良川、棚野川(たなのがわ)が流れ、河川一帯は鮎など渓流釣りのメッカとなっている。
 美山には茅葺き屋根の民家が多くあり、なかでもまとまって残っている北集落が「かやぶきの里」と呼ばれる。由良川に沿う集落の50戸のうち39棟が茅葺き屋根であり、寛政8年(1796)に建てられたものが最も古く、大半は江戸末期~明治初期の建築。主屋は南向きで、由良川の流れに並行するように立ち並んでいる。これらの民家は入母屋造の「北山型民家」で、間取りが田の字型、壁や戸が木造り、上げ庭と言われる土間があることが特徴である。伝統的技法による建築物群を含めた歴史的景観の保存度が高く評価され、1993(平成5)年に、北集落は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。以降、「かやぶきの里保存会」や「有限会社 かやぶきの里」が集落の住民により組織され、歴史的景観の維持管理、住民生活の保全が行われている。かやぶきの里は自動車の乗り入れ禁止で、府道38号線沿いに駐車場があり、集落内は歩いて見学することとなる。最初に記した「京都丹波高原国定公園ビジターセンター」では美山町の観光案内をはじめ国定公園エリア内での体験ツアーの案内もあるので、かやぶきの里に行く前に情報を得てから訪れることをお勧めする。
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みどころ

ひな壇のようになった山裾に、形の整った茅葺き民家が横に並び、統一のとれた景観がとても美しい。集落前にはソバ畑が広がっており、奥の集落とともに写真に収められる絶好の撮影ポイント。ソバの花の白、茅葺きの茶色、背景の深い緑色のコントラストが明るい太陽の下で輝きを増す。集落内には「美山民俗資料館」や、世界各地の藍染品を展示する「ちいさな藍美術館」、またカフェやレストラン、茅葺きのいい雰囲気の民宿もあるので、ゆっくり滞在して美しさを堪能したい。また神社や用水路、畑や道沿いの花々、防火設備の放水銃、懐かしい赤い色の郵便ポストなどもあり、これらを茅葺き民家の前景にした写真も美しく撮れる。