世界文化遺産。嵐電北野線御室(おむろ)仁和寺駅から徒歩3分で仁和寺二王門に着く。宇多天皇陵のある大内山陵を背景に、南に双ヶ岡を控えた景勝地を占め、深い緑に包まれる真言宗御室派の総本山である。886(仁和2)年に光孝天皇の勅願で着工、宇多天皇即位後の888(仁和4)年に完成、年号から仁和寺と号する。のちに宇多天皇が落髪後入寺し、境内に御座所である御室を設けたため御室御所とも呼ばれた。以後明治まで法親王が住持になり、門跡寺院としての格式を誇る。室町時代の応仁・文明の乱で多くを焼失、衰微するが、寛永年間(1624~1644)に徳川幕府によって次第に復興した。御室流華道*の家元でもある。
 気品ある金堂や御影(みえ)堂などは御所から移した建物であり、御殿は御所さながらの雅な雰囲気が漂っている。御所庭園は、国の名勝。五重塔と御室桜でも知られる。
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みどころ

二王門*を入って左手に御殿*があり、御殿の宸殿からは御所庭園*が眺められる。二王門から北へ進むと、東側には霊宝館*があり、多数の寺宝を収め、春と秋の観光シーズンに開館する。朱塗りの中門を越えると左手に御室桜*の林、そして観音堂、右手に五重塔*がそびえる。参道正面が金堂*。御影堂*はその西方にある。
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補足情報

*御室流華道:宇多天皇を流祖とする。霊宝館前に安置の金剛華菩薩坐像は、宇多天皇1050年忌にあたる1981(昭和56)年に建立された。高さ3.3m。生け花など技芸上達に霊験があるという。
*二王門:国指定重要文化財。南禅寺・知恩院の三門とともに、京都三大門といわれる。寛永年間(1624~1644)の造営、5間3戸、入母屋造、本瓦葺の重量感にあふれた楼門。左右に、金剛力士像が立つ。
*御殿:明治から大正に再建された宸殿・白書院・黒書院などからなる御所風の建築。
*御所庭園:七代目植治が整備に携わり、北庭と南庭、前庭がある。江戸時代の庭がもとになった北庭は、滝石組が設けられた池泉式庭園で、茶室飛涛亭(ひとうてい)と遼廓亭(りようかくてい)を設ける。庭越しに五重塔が望まれる。南庭は左近の桜、右近の橘、白砂と松で構成される。
*霊宝館:収蔵の主な国宝は、阿弥陀三尊像、孔雀明王像、宝相華蒔絵宝珠箱、三十帖冊子、医学書である医心方など。
*御室桜:名勝。総数約200本。根元から枝を張り、高さ2mあまりで樹高が低い。その姿からお多福桜ともいう。京都各地の花見が終わった4月中旬ころ、花期を迎える。観桜の記録は、1661(万治4)年まで遡り、「都名所図会」にも紹介されている。
*五重搭:金堂の南東。3間四方。1644(寛永21)年造営。高さ36m余り。初層から5層目まで屋根の大きさがほぼ等しく、深い軒をもつ。
*金堂:正面7間、側面5間、入母屋造、本瓦葺で、蔀戸を設け、正面に1間の向拝を付ける。御所の旧紫宸殿を移築したもので、近世初期寝殿造の遺構として貴重である。天井は高く、壁に極彩色の浄土図を描いた荘厳な堂内に、本尊・阿弥陀三尊像を安置する。
*御影堂:宗祖弘法大師を祀る。5間四方、宝形造。檜皮葺の美しい屋根を載せた住宅風の建築。もとの御所清涼殿の一部を使用したものである。
関連リンク 総本山仁和寺(WEBサイト)
参考文献 総本山仁和寺(WEBサイト)
「京都府の歴史散歩 上」山川出版社
「日本の国宝 014 京都・仁和寺」朝日新聞出版

2025年05月現在

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