＊京都五山制度：中世幕府が臨済宗寺院を統制するために設けた制度。五山の寺院が最高の寺格を与えられた。中国南宋時代の五山官寺制度が鎌倉時代に伝わり、鎌倉五山が誕生した。その後、京都でも足利氏が臨済宗寺院を統制するために五山を設定し、その下に十刹、諸堂が列した。しかし、後醍醐天皇や足利氏の政治政略的な格付けにより、五山の選定やその順位に何度かの変遷があった。1386年（至徳3）年、足利義満のときには、南禅寺を「五山之上」とし、第1位から天龍寺、相国寺、建仁寺、東福寺、万寿寺とされた。その後天龍寺と相国寺が入れ替わったが、応永10年（1410）に元に戻され、以後この順位が変わることはなかった。
＊三門：重要文化財。中門の東側。5間3戸、入母屋造、本瓦葺で、天下竜門ともいい、上楼を五鳳楼と呼ぶ。1628（寛永5）年、大坂夏の陣に倒れた将士の菩提を弔うために藤堂高虎が再建した。門前に日本一大きいという石燈篭が立っている。
＊方丈：国宝。山内東縁にあり、大方丈と小方丈に分かれている。大方丈は天正年間（1573～1592）造営の御所清涼殿を移建したものとされ、正面9間、側面12間、単層、入母屋造、柿葺である。柳の間・麝香（じゃこう）の間・西の間などがあり、襖絵は桃山時代の作品で、花鳥図は狩野元信、人物画は狩野永徳筆と伝える。小方丈は大方丈の奥で、虎の間がある。襖絵は狩野探幽筆といわれ、金地に竹林群虎が描かれ、特に「水呑の虎」の図は名高い。なお北側には宗徧（そうへん）流の茶室不識庵、中根金作作の露地があり、周囲の竹垣は南禅寺垣と呼んでいる。
＊方丈庭園〔名勝〕：大方丈の南面にあり、俗に｢虎の子渡しの庭｣と呼ばれている。長方形の敷地に、左から大石を据え、順次右方に庭石を組み流し、その前面には一面に白砂を幅広く敷きつめている。江戸時代初期の禅院式枯山水の代表的な庭園で、1629（寛永6）年小堀遠州の作庭と伝える。
＊法堂：豊臣秀頼が寄進した法堂は、1895（明治28）年に焼失して、1909（明治42）年に、現在のものが再建された。天井の瑞龍図は今尾景年の大作である。