天橋立あまのはしだて

京都丹後鉄道天橋立駅から徒歩5分。宮島(広島県)・松島(宮城県)と並ぶ日本三景*の一つ・天橋立は、宮津湾北西岸の江尻から南の文珠までの間、宮津湾と阿蘇海(あそかい)を真一文字にたち切り、南西につき出した全長3.6km、幅20~170mの砂州(さす)*である。砂州上には大小約6,700本の松が続き、遠目には海面上に松並木が浮かび上がっているように見える。ことに高台の展望台からの松並木の俯瞰は、まさに絶景である。砂州は南端近くの2カ所で切れている。この2カ所で宮津湾と阿蘇海がつながっており、かつては舟でこの部分を渡ったが、現在はそれぞれ廻旋橋(小天橋)、大天橋と呼ぶ橋がかけられており、歩いて渡れる。天橋立の南端すぐ近くには古くから「切戸(きれと)の文殊」の名で親しまれてきた文殊菩薩を安置する智恩寺がある。天橋立の北方には歴史ある元伊勢籠神社(もといせこのじんじゃ)*、成相寺(なりあいじ)などがある。
 天橋立の成因は次のように考えられている。丹後半島の東岸を南下する海流が宮津湾内に土砂を運び込み、それに対して阿蘇海に流れ入る野田川が砂を押し出す。この相互作用が長い年月にわたり土砂を堆積、砂州を形成した。さらに砂州上に松をはじめとする植物が生育し、白砂青松の天橋立となったもので、樹齢数百年の老松も残っている。
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みどころ

京都丹後鉄道天橋立駅から約400m、「天橋立ビューランド」の入園口からモノレールまたはリフトに乗る。天橋立ビューランドは標高約130mに位置する展望遊園地。ここからの眺望は天橋立の松並木が天に上る龍のように見えることから「飛龍観」と呼ばれ、1度は目にしたい景観である。
 天橋立の南端近くには智恩寺があり、天橋立を歩く前にお参りしていきたい。智恩寺の脇には観光船の乗り場があり、天橋立の北側まで運航している。智恩寺の手前には天橋立への道が続き、船が運河を通る度に90度回転する廻旋橋がある。この橋が回る光景も一つの見どころである。天橋立の松林の中には道が北側まで続き、徒歩では1時間弱、自転車で20分程度である。松林の中には天橋立神社(橋立明神)や数多くの石碑、様々な名前がつけられた松の銘木があり、ゆっくり観賞しながら歩きたい。
 天橋立の北側、標高130mの高台には展望公園「天橋立傘松公園」がある。腰を曲げて股の間から天橋立を見る「股覗き」が有名で、股の間から海が空に見え龍の姿が躍動しているとのことでお試しあれ。天橋立傘松公園の麓には元伊勢籠神社がある。伊勢神宮に祀られる天照大神、豊受大神がこの地から伊勢に遷されたという故事から元伊勢と呼ばれている。成相山の中腹、標高320mに位置する成相寺は西国三十三所観音霊場第28番札所であり、天橋立のビューポイントともなっている。
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補足情報

*日本三景:1643(寛永20)年、林春斎が天橋立を松島、厳島(宮島)とともに「三処奇観たり」と述べた(『日本国事跡考』)。その後1689(元禄2)年に福岡藩の儒学者、貝原益軒が天橋立を旅行した記録『己巳紀行(きしきこう)』の中で初めて「日本三景」という言葉が登場している。
*砂州:沿岸流や波浪によって運ばれた砂礫(されき)が海岸や湖岸から細長く突堤状に堆積してできた地形。
*元伊勢籠神社:籠神社の宮司家、海部家に伝わる系図「海部氏系図(あまべしけいず)」は現存する日本最古級の系図として国宝に指定されている。
関連リンク 天橋立観光協会(WEBサイト)
参考文献 天橋立観光協会(WEBサイト)
丹後天橋立(WEBサイト)
「日本三景天橋立 散策マップ」天橋立文珠繁栄会・天橋立府中観光会

2025年05月現在

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