豊川稲荷(妙嚴寺)とよかわいなり(みょうごんじ)

JR飯田線豊川駅・名鉄豊川線豊川稲荷駅から徒歩5分。 商売繁盛・家内安全・福徳開運のお稲荷さんとして親しまれ、全国から年間数百万の参拝者が訪れる。
 1441(嘉吉元)年、永平寺6代目の法孫東海義易により、曹洞宗の寺として創建。のちに今川義元により伽藍が整備された。本尊は寒嚴禅師*伝来の千手観音を祀り、山門の守護として寒嚴禅師自作の豊川吒枳尼眞天*(だきにしんてん)を祀っている。この豊川吒枳尼眞天が稲荷神*の本地仏であるところから豊川稲荷とも呼ばれ、江戸末期以降、稲荷信仰の流行とともにおおいに栄えた。明治の廃仏毀釈の折りも分離を免れ、神仏混交の寺として今日に至っている。境内には90余りの堂宇が立ち並ぶ。
 総門は総ケヤキづくり、屋根は銅板葺きで、扉はケヤキの一枚板である。門をくぐると正面に、今川義元が寄進したといわれる本瓦葺の山門が見える。左手小高い所にある一段と高い建物が、豊川稲荷の大本殿で、1930(昭和5)年の完成まで30年の歳月を費やした。また書院西には江戸初期の築山泉水庭園があり、名勝に指定されていた。
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みどころ

本殿は妻入り二重屋根、総ケヤキ造で、間口19m・奥行き38m・高さ30mの壮大な建物である。
 奥の院の狐塚の千体の狐が、よだれ掛け風の赤い布をまとって並ぶさまは、近年、パワースポットとして注目を集めている。
 豊川稲荷の名物「いなり寿司」は、米の豊作を祝うため、米俵に似せて油揚げの中にご飯を詰めて、お稲荷さんに供えしたのが始まりである。
 車利用の参拝者も、ぜひ駅から300mほどの参道を歩いてお稲荷さん関連の寿司屋や土産屋が並んでいるのを見ながら楽しんでほしい。
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補足情報

*寒嚴禅師:越前で禅に参じ、のち道元禅師に教えを乞う。宋に二度にわたり、名刹を訪ね諸名徳に学び、仏法の深義を究めた。大慈寺などいくつかの寺を創建する。熊本にて約200万m2の農地を開拓・開墾。「時世を救う」大願が、九州一円から鎌倉の将軍に、京都の天皇・朝廷に伝わった。
*豊川吒枳尼眞天:豊川吒枳尼眞天との本迹関係は、京都伏見の稲荷神社が、平安遷都ののち東寺造営にからんで真言密教と習合し、東寺の鎮守神になったことに由来する。
*稲荷神:稲を象徴する神で、キツネが神の使者とされる。
関連リンク 豊川稲荷(WEBサイト)
参考文献 豊川稲荷(WEBサイト)
あいち観光ナビ(一般社団法人 愛知県観光協会)(WEBサイト)
『愛知県の歴史散歩 下』愛知県高等学校郷土史研究会=編 山川出版社

2024年05月現在

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