博物館 明治村はくぶつかん めいじむら

名鉄犬山駅東口から「明治村行き」バスで約20分。犬山市街の南東郊、入鹿池(いるかいけ)の西岸に沿って広がっている。取り壊されていく明治の建築物の保存を計るため、また明治時代の文化を理解してもらうため、名古屋鉄道が用地を寄付するとともに財政面でも全面的に協力して、1965(昭和40)年に開館した。現在、公益財団法人明治村が管理運営している。
100万㎡という広大な丘陵地帯で、三重県庁舎*聖ヨハネ教会堂*西郷從道邸*などの国の重要文化財である建造物が11件、帝国ホテル中央玄関*や森鷗外・夏目漱石住宅*など、明治から昭和初期にかけての歴史的建造物が豊かな自然と調和しながら立つ。その他村内では乗車体験ができる日本最古の路面電車「京都市電」、日本初の鉄道路線である新橋~横浜間を走った「蒸気機関車」のほか 、車窓越しに音声で案内しながら走るレトロ風なバスの「村営バス」が運転されている(※運休の場合あり)。建造物は現在、洋館や校舎、日本家屋など64件が展示されている。
#

みどころ

村内の飲食店では、文明開化の象徴ともいえる「牛鍋」や、当時のベストセラー小説『食道楽』のレシピを再現・アレンジしたコロツケー(コロッケ)・カレーぱん・カレーなども味わえる。
 建物内部は本来の用途に応じて再現し、一部の家具や調度は実際に触れることができる。建物の見学制減箇所を学芸スタッフが案内する「建物ガイド」も実施。建物と建物は多数の連絡路で結ばれている。丘陵の地形をうまくいかした配置で、敷地全体は見渡せなく、村内を移動する際には、次のエリアへの期待感を抱かせる。村内から眺める入鹿池も格別である。
#

補足情報

*三重県庁舎:明治村の玄関口である第八高等学校正門をくぐると白壁の美しいスマートな洋館が目に入る。1879(明治12)年に建てられ、玄関を軸に左右対称の構成で当時の官庁建築の典型的なものである。館内は常設展示として「明治のくらし・よろずの体験」や「明治の時計」「明治の宮廷家具」がある。
*聖ヨハネ教会堂:「村」の南端の丘の上には高い尖塔が印象的な教会堂が立つ。構造は1階がレンガ造、2階が木造で、2階には会堂、1階は日曜学校や幼稚園に使われた。日本聖公会京都聖約翰(せいよはね)教会堂として1907(明治40)年アメリカ人J.M.ガーディナーによる設計と建設。京都の気候に合わせ天井を竹簾で張ってあるのは興味深い。
*西郷從道邸:「村」の南部にある。1880(明治13)年フランス人の設計で建てられ、建具類もほとんど船車品で、2階にバルコニーが張り出す。在日外交官の来客も多く、接客の場として設けた2階建ての本格的な洋館。なお、西郷從道は西郷隆盛の弟にあたり、陸・海軍などの大臣を歴任した。
*帝国ホテル中央玄関:アメリカの建築家F.L.ライトの設計により1923(大正12)年、東京に完成。1968(昭和43)年に新館建設のために解体され、1976(昭和51)年に移築された。幾何学模様を彫刻した大谷石とスクラッチレンガとを調和させた美しい建物。
*森鷗外・夏目漱石住宅:1887(明治20)年頃のごくありふれた建坪39坪(約178.7m2)の建物に、鷗外が1890(明治23)年から1年余、漱石が1903(明治36)年から、1906(明治39)年まで生活し、著述した。