爪木崎のスイセンつめきざきのすいせん

伊豆急行下田駅から東南へ約6km、須崎半島の東南端に爪木崎がある。須崎半島は長い歴史の中で隆起と海食を繰り返し、4段の隆起海岸段丘となっている。爪木崎付近では、1段目は浜に続く段丘が池の段と呼ばれ、2段目は白い灯台のある台地、3段目が須崎半島自体、4段目は下田市街の東にある寝姿山へと続く。
 その爪木崎の先端、2段目の燈台下から1段目の池ノ段の草原台地にかけての一帯は、12月末から1月末まで水仙*1約300万本が乱れ咲く。また、この周辺の浜辺、段丘には6月から8月はハマユウ、11月にはツワブキの花の群生も見られ、水仙を見下ろす2段目の段丘には爪木崎花園*2がある。                                  
 爪木崎からは須崎や自然公園「グリーンエリア」への遊歩道があり、海辺の植物、野鳥、海食崖などの海景を観察することができる。
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みどころ

地元住民や自治体の管理、保護などの努力によって増やしてきた約300万本の水仙は壮観。ほのかに甘い花の香りが風によく乗り、遠くまで届く。
 爪木崎周辺に整備された遊歩道を行くと、遠くには伊豆七島、手前に爪木島・川越島など無数の岩礁が散らばった雄大な海景が広がり、海岸沿いには俵磯と呼ぶ柱状節理の断崖など変化に富んだ景観が展開しており、ハイキングには格好。
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補足情報

*1 水仙:植物学者牧野富太郎によると 「スイセンは水仙を音読した、そのスイセンが今日本の普通名となっているが、昔はわが邦でこれを雪中花と呼んだこともあった。元来、水仙は昔中国から日本へ渡ったものだが、しかし水仙の本国はけっして中国ではなく、大昔遠く南欧の地中海地方の原産地からついに中国に来きたり、そして中国から日本へ来たものだ。…中略…元来、水仙は海辺地方の植物であって、山地に生える草ではない。房州、相州、その他諸州の海辺地には、それが天然生のようになって生えている」としている。野ズイセンの群生は、淡路島、越前海岸、南房総・鋸南町 などでもみることができる。                          
*2 爪木崎花園:ニチニチソウ、サルビア、チューリップ、スイセン、パンジー、ヒマワリ、ラナンキュラス、デイジーなど、四季折々の花が植えられている。花園の横には温室があり、バナナ、パパイヤ、ブーゲンビリア、タコの木など、多数の南国のフルーツや熱帯植物が見られる。入園無料。