駒門風穴こまかどかざあな

JR御殿場線富士岡駅の西南約1kmにある。富士山東南麓にある、約1万年前に富士山頂の火口から噴出した三島溶岩流の中に形づくられた溶岩洞穴*1の一つ。富士山周辺で発見されている溶岩洞窟としては、もっとも古く規模が大きい。
 内部は横穴で途中から2道に分かれ、本穴は243m、枝穴は105mで入口部分の天井高は20mほど、洞穴内でも3m以上のところがある。洞穴内では、「肋骨状溶岩」*2「溶岩鍾乳石」*3「縄状溶岩洞」*4などをみることができる。
 洞内温度は常に13℃程度、コウモリのほか、目が退化した希少な生物が生息している。また、かつては洞穴内の低温で一定の温度が保たれる環境を活かし、蚕に卵を産みつけさせた「蚕卵紙」の保存に利用していた。                                                                       
 見学可能な範囲は本穴が入口から約160mまで、枝穴は本穴との分岐点から約45mまで。
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みどころ

溶岩洞穴は富士山麓には数多く点在するが、駒門風穴はもっとも規模が大きいもののひとつ。鍾乳洞の美しさや水の流れはないが、火山活動のダイナミズムを肌で感じることができる。
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補足情報

*1 溶岩洞穴:火山から流出した溶岩流の中にできる洞穴のこと。約1,000℃の溶岩は地表に出て空気に触れていると、表面は急速に冷え固まるが、中身は高温で固まらず、その中身が表面の殻を破って流れ出ることによって洞穴が形成される。溶岩流内部に溜まったガスなどが抜けた後も洞穴になることがある。また、溶岩流が樹木を包み込み、樹木が焼失して洞穴が成形されることもある。
*2 「肋骨状溶岩」:溶岩が洞内側壁を流れ下った跡が肋骨状になったもの。
*3 「溶岩鍾乳石」:粘性が低い玄武岩質溶岩に空洞でき、天井から滴たり落ち、溶岩の円錐柱となったもの。
*4 「縄状溶岩洞」:溶岩が内外の温度差や圧力差、溶岩流の滞り方によって、溶岩流の表面が様々な形状になるが、なかには縄を編んだような形状になる場合もある。