濁河温泉にごりごおんせん

標高3,067mの御嶽山(おんたけさん)西腹6合目(標高1,800m)に位置し、濁河川上流の「湯の谷」渓谷を臨み、野鳥がさえずる原生林に囲まれた温泉地。標高1,800mと日本でも有数の高地に沸いている温泉で、湯温50度以上で源泉かけ流し、泉質は炭酸水素塩泉(ナトリウム・マグネシウム・カルシウム一硫酸塩)。
 かつては徒歩で1日がかりで登るので「岳の湯」と呼ばれ、1887(明治20)年頃から登山者向けの宿があった。1955(昭和30)年には、濁河温泉まで自動車が通行できる道が整備され、一般客も利用可能な温泉地に発展した。湯治のほか、夏は飛騨側の登山基地として、秋は紅葉狩り、冬はアイスクライミングと野外活動の観光客が多い。
 源泉の湧く濁河川は、濁河三滝と呼ばれる緋の滝・白糸の滝・仙人滝がある。宿泊施設のほか、断崖の下の川岸に野趣豊かな露天風呂(市営)がある。周囲を巡る原生林歩道・自然散策道や高地トレーニング施設「御嶽パノラマグラウンド」などがある。
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みどころ

濁河川では、川床の岩が白濁した珍しい光景が見られる。出口の温泉は無色透明だが、空気に触れると結晶化して鉄分は赤茶色、カルシウムは白色に「湯の花」となってたまり、 全体として乳柿色の濁り湯となる。このことが、温泉名の由来になっている。
 周囲は大自然に囲まれ星空観察に適している。満天の星空のもとでゆったり湯浴みをするのも贅沢な趣きである。
 濁河温泉までの道中(県道441号線)は御嶽パノラマラインと呼ばれ、雄大な御嶽山や噴火により流出した長い溶岩流が一望できる絶景スポットである。初夏には木々の青さが、また紅葉の時期にはカラマツに伝うツタウルシが真っ赤になり、見応えがあって良い。