関ケ原古戦場せきがはらこせんじょう

現在、古戦場一帯はのどかな田園風景が広がり、山上や林の陰・田の中に石碑が立ち、武将の陣旗がはためき、合戦を偲ばせる。関ケ原の戦い*は、天下分け目の合戦とも言われるほど、歴史上でも重要な戦いである。
 JR関ケ原駅の北約900mに古戦場を一望できる「丸山」(岡山烽火場、黒田長政・竹中重門陣跡)があり、山頂から南を見ると細長い盆地が続いている。この盆地が戦場で、右手に西軍・石田三成*陣地の笹尾山、左手に東軍・徳川家康最初陣地の桃配山(ももくばりやま)がある。激戦地は笹尾山・決戦地の付近である。
 戦死者を葬った東首塚は駅の北西200m、西首塚は西500mにある。東首塚の北にある徳川家康最後陣地には、家康が西軍諸将の首実検をした床几場(しょうぎば)跡があり、のちに築いた土壇が残っている。このほか西軍・島津義弘、宇喜多秀家、東軍・福島正則など各武将の陣跡や大谷吉隆(吉継)*の墓などが点在している。
 駅北西の町役場横に、巨大なスクリーン映像により戦いの様子を紹介するグラウンド・ビジョンや、古戦場を見渡す展望台等もある「岐阜関ケ原古戦場記念館(2020(令和2)年10月開業)」や、同記念館と合わせてリニューアルオープンした「関ケ原町歴史民俗学習館」がある。また、駅前には観光情報の発信拠点の「関ケ原駅前観光交流館」があり、笹尾山麓には、甲冑体験ができる「笹尾山交流館」がある。
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みどころ

関ケ原は、伊吹山地と鈴鹿山系が迫る細長い地で、軍事上の要衝でもあった。672(天武元)年の天皇家皇位継承をめぐる壬申(じんしん)の乱の舞台にもなった。勝者の大海人皇子(後の天武天皇)が桃を配って勝利したことから名付けられた「桃配山」を、家康は最初の陣地としている。
 関ケ原古戦場は、関ケ原の合戦において徳川氏の覇権が確定的となり、1603(慶長8)年から260年間続く江戸時代の扉を開いた場所で、合戦の様子は数々の映画やTV*で何度も描かれている。
 1600(慶長5)年の関ケ原の戦いは、東西約4km、南北約2km、標高130mの盆地で展開された。先に西軍が山や高台などに陣を構えて、あとから関ケ原に到着した東軍は、西軍が包囲して待ち構える所に攻め入るという陣形的には不利になっていたのを、いかに戦って勝利したかなどを探訪して見ると面白い。範囲が数km四方だが史跡は点在しているので、事前に古戦場記念館や学習館で情報や資料を得てから回りたい。
 現地では、案内説明板も多く、主要箇所に行く決戦コース、家康コース、三成コース、ほぼ全陣跡を周遊する行軍コースなどを設定・紹介している。自動車では道が狭かったり、駐車場が少ない。駅前交流館と古戦場記念館にあるレンタサイクルを活用すると便利。小早川秀秋陣地の松尾山や島津義弘の敵中突破「島津の退き口(のきぐち)」探索も興味深い。また、不破の関跡や中山道関ケ原宿関連史跡も気になる歴史資源だ。
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補足情報

*合戦:関ケ原の戦い、1600(慶長5)年徳川家康と石田三成が関ケ原で繰り広げた天下分け目の合戦。豊臣秀吉の死後、五大老の一人家康の勢力が増大、これに豊臣政権の危機を感じた三成が、徳川氏の勢力に対抗しようとしたともいわれるが、そこには政治・経済・戦略的な様々の要因が介在していた。同年6月、家康は、三成と手を結んでいた上杉景勝征討を名目に東下、三成の挙兵を挑発した。三成は毛利輝元・宇喜多秀家・島津義弘らの西国大名と小西行長・大谷吉継・長束正家ら文治派の諸将を結集して7月に挙兵。家康は豊臣恩顧の家臣のうち、三成と対立する黒田長政・福島正則らの武断派の諸将を先頭に、9月15日関ケ原に相対した。軍勢は三成方西軍は8万、家康方東軍は10万、三成は笹尾山に、家康は桃配山を本陣とし、戦いは早朝、濃霧の中に火ぶたが切られた。初めは西軍が有利に展開したが、小早川秀秋の寝返りなどで、形勢は逆転、西軍は奮戦空しく壊滅し、午後3時に戦いは終わった。三成・行長らは捕えられて処刑され、結果的に豊臣秀頼は摂津・河内・和泉六十万石の一大名に転落した。徳川氏の覇権が確定的となり、3年後の江戸幕府開府へとつながっていく。
*石田三成:安土桃山時代の武将。治部少輔。近江佐和山城主。1560(永禄3)年近江に生まれる。若くして豊臣秀吉に仕え、賎ヶ岳の戦い、小田原進攻、文禄・慶長の役に出陣。太閤検地の中心人物。行政的手腕に秀で重用され加藤清正・福島正則など武断派と反目、秀吉死後徳川家康と関ケ原で戦い敗北、六条河原で斬首された。
*大谷吉隆(吉継):生年不詳~1600(慶長5)年。安土桃山時代の武将。刑部少輔。豊臣秀吉の小姓から、越前敦賀五万石の城主となる。小田原進攻、文禄・慶長の役に従軍。石田三成と親しく、家康にも接近していたが、関ケ原の戦いでは石田方に加担、癩病だったといわれる病躯をおして駕篭で出陣、悲壮な最後をとげた。
*映画やTV:関ケ原古戦場は、今なおNHKをはじめテレビ番組等でも取り上げられることも多く、テクノロジーを駆使した最新の調査からは興味深い結果が得られることも多い(『決戦!関ケ原 空からスクープ 幻の巨大山城』など)。
関連リンク 関ケ原観光ガイド(関ケ原観光協会)(WEBサイト)
参考文献 関ケ原観光ガイド(関ケ原観光協会)(WEBサイト)
岐阜の旅ガイド(一般社団法人岐阜県観光連盟)(WEBサイト)
岐阜関ケ原古戦場記念館(WEBサイト)
『関ケ原ガイドブック』岐阜県
『関ケ原合戦史跡めぐり、サイクリングマップ』

2024年02月現在

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