南宮大社なんぐうたいしゃ

JR東海道本線垂井駅から南へ約1.5km。南宮山の北東麓にあり、美濃国一の宮として、古くから広く崇敬されてきた。
 社伝によれば、神武(じんむ)天皇が「東征」した折、八咫烏(やたがらす)を輔(たす)けて力を顕した金山彦大神(かなやまひこのおおかみ)が祭神として祀られ、後に崇神(すじん)天皇(紀元前97年~30年)の代に現在地に鎮座したと伝わる。927(延長5)年の延喜式にも名神大社「仲山金山彦神社」として掲載されている。鎌倉時代の源頼朝や、室町・戦国時代の美濃守護である土岐氏累代から厚い尊崇を受けて栄えた。金山彦大神は金属・鉱山の神で、現在も鉄工業関係者の参詣が多い。
 社殿は、1600年関ケ原の戦いの兵火によって焼失したが、三代将軍徳川家光が、美濃出身で乳母である春日の局(かすがのつぼね)の願いにより、1642(寛永19)年に再建した。社殿は、和様と唐様を折衷した独特の「南宮造」と呼ばれる建築様式である。石輪橋(いしわばし)・下向橋(げこうばし)を前にして朱塗の楼門・高舞殿(こうぶでん)*・拝殿・本殿などが縦に並び、勅使殿・回廊など20数棟で構成される。境内には神木の白玉椿が彩を添える。
 年間を通じて大小50余りの神事が斎行される。また、51年ごとに式年遷宮が行われる。
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みどころ

杉の古木に囲まれて、鮮やかな朱色で豪壮・華麗な社殿が引き立つ。
 神社が、国府の南方に位置するので南宮大社と云われる様になった。地元では、親しみを込めて「なんぐうさん」と愛されている。白く美しい椿の森が境内にある。
 金属を司る神様だけに、貴重な刀剣類が社宝として所蔵されている。名匠備前長船康光(びぜんおさふねやすみつ)*の銘がある太刀、現在日本に五振りしかないという三条宗近*作の刀剣などが、文化の日(11月3日)にのみ宝物殿で公開される。
 数ある祭典の中で特に、5月4日の御田植祭、5日の例大祭は見ておきたい。御田植祭は、早乙女たちがはやし方の田植歌に合わせ、苗に見立てた松の葉を植え付ける。例大祭は、南宮大社から御旅神社まで約2kmを神輿3基が神々を運び、神幸式、蛇山神事、還幸舞などが奉納される。
 11月8日は、金山祭(通称ふいご祭)で、鋼を打つ、刃物の古式鍛錬式が行われ、全国から鉱山金属関係の参拝者で賑わう。
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補足情報

*高舞殿(こうぶでん):正面3間、側面3間、宝形造、桧皮葺。楼門と拝殿の中間にあり、舞楽を奉納する。朱塗で蟇股に十二支の彫刻が施されている。
*備前長船康光(びぜんおさふねやすみつ):生没年未詳。室町時代の刀工。中世日本に備前国邑久郡長船(現在の岡山県瀬戸内市)を拠点とした刀工の流派である長船(おさふね)派。
*三条宗近:平安時代永延期(987~989)、京都三条に居住したと伝えられる刀工。日本刀最初期の刀工の一人。