馬籠宿まごめじゅく

江戸日本橋と京都三条大橋を結んだ中山道(なかせんどう)六十九次の43番目の宿場町。その中で木曽川に沿い、険しい峠を越え深い谷を抜け、山あいをめぐる区間を中山道・木曽路十一宿と称し、北は長野県塩尻市の贄川(にえかわ)宿から、妻籠(つまご)宿を経ていちばん南が馬籠宿である。
 馬籠峠からつづく斜面にのったところで、ひと筋の狭い石畳の坂道に600mほど古い家並みが連なる。1895(明治28)年・1915(大正4)年の大火で焼失したが、現在は昔の町並みが復元されている。「馬籠脇本陣史料館」*や土産物屋、食事処、茶屋等が並ぶ。
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みどころ

坂の両側に建ち並ぶ宿場町で、街並みと石畳が雰囲気を醸し出す。格子造の古風な家が多く、宿場町の風情が偲ばれ、老いも若きも家族・カップルと多くの人々が訪れている。また、町並みの坂を上がった見晴らし台からは、日本百名山である恵那山の堂々とした姿や周りの山々の景色も一望でき、季節で変わる風景や夕焼けなどが美しい。
 また、馬籠宿から44番目の落合宿へは、丘陵地の傾斜に水田、棚田といった田園風景や、緑に囲まれた美しい石畳が続くなど、旧中山道の趣きが楽しめる。
 文豪・島崎藤村は、小説『夜明け前*』の中で、「馬籠は木曾十一宿の一つで、この長い谿谷の尽きたところにある。西よりする木曾路の最初の入り口にあたる。そこは美濃境にも近い。美濃方面から十曲峠に添うて、曲がりくねった山坂をよじ登って来るものは、高い峠の上の位置にこの宿を見つける。街道の両側には一段ずつ石垣を築いてその上に民家を建てたようなところで、風雪をしのぐための石を載せた板屋根がその左右に並んでいる。」と著している。宿場の賑わいと山に囲まれた自然の中に佇むと、この地を往来した旅人の足音が聞こえてきそうだ。
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補足情報

*馬籠脇本陣史料館:脇本陣蜂谷家の跡に建ち、江戸時代の宿場のにぎわいや木曽谷の暮らしを伝える。
*島崎藤村(しまざきとうそん):1872(明治5)年〜1943(昭和18)年。小説家・詩人。本名は春樹。筑摩県馬籠村(現在の岐阜県中津川市)の生まれ。明治学院卒。1893(明治26)年『文学界』創刊に参加。初めロマン主義詩人として『若菜集』などを出す。のち小説に転じ1906(明治39)年『破戒』を発表、自然主義作家と目された。ほかに『春』『家』『新生』『夜明け前』など。
*藤村記念館:藤村が幼少期を過ごした馬籠本陣跡にあり、『夜明け前』の自筆原稿・愛用品などを収蔵展示。
*清水屋資料館:代々馬籠宿の役人の家。島崎藤村との親交が深く、藤村との書簡や資料や宿場関係資料を紹介。
*夜明け前:1929~1935(昭和4~10)年発表。明治維新前後の動乱の時代を背景に、木曽馬籠宿の旧家の当主、青山半蔵の苦難の一生を描く。モデルは作者(島崎藤村)の父。
関連リンク 木曽馬籠(馬籠観光協会)(WEBサイト)
参考文献 木曽馬籠(馬籠観光協会)(WEBサイト)
『日帰りウォーキング 東海 (大人の遠足BOOK 中部 1)』JTBパブリッシング
『中山道木曽路小さな旅』パンフレット 木曽観光連盟
『中山道 馬籠宿』パンフレット 馬籠観光協会
『島崎藤村全集・52作品⇒1冊』 島崎藤村 Kindle版

2024年02月現在

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